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英国医学研究留学記

ウイルス学

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今日はやっぱりこの話題です。
本年度のノーベル医学生理学賞が発表されました。
昨年は、僕の研究領域に近い話題でのノーベル賞だったのですが、今年はウイルス学からでした。
HIVの発見者のLuc Montagnier博士とFrançoise Barré-Sinoussi博士(仏)、ヒトパピローマウイルス(HPV)の発見者であるHarald zur Hausen博士(独)の三者です。
パピローマウイルスとはあまり聞き覚えが無いかもしれませんが、要するにイボの原因ウイルスです。
パピローマ(イボ)ウイルスは何種類もありますが、子宮頸癌を引き起こすウイルスはこの中の特定のウイルスです。
HIVはウイルスの発見によって、現在はAIDSへの進展を食い止めることが出来るようになりました。
HPVは、これへの感染を予防する事で、子宮頸癌への進展の予防につながります。
これらの社会的インパクトが評価されたのでしょう。
HIVはもっと早く貰っていても良かった様にも思いますが。

医師は目の前にした個人が対応できる数の患者様しか手助けできませんが、良いワクチン一本の開発で数百万人とか言う単位の人救われる可能性があるのは、基礎研究の醍醐味でしょう。
もっとも、そのような体験を生存中に味わえる研究者は数が限られると思いますが。
学生時代、産婦人科の実習のときに(もう15年以上昔ですか)、子宮頸癌とHPVの高い相関関係から、子宮頸癌は感染症として捉えられて予防できるようになるのではないかと指導教官が言っていた言葉に、当時はへえ~っと思った覚えがありますが、英国では今年から若い女性(思春期)に子宮頸癌予防のためのHPVワクチン接種が開始され、当時の予言はほぼ現実のものとなりつつあります。
世の中の進歩は目覚ましいものだと思います。
そう言えば、HIVを誰が最初に発見したのかについては、米国のRobert Gallo博士との間でちょうど1980年代の後半に論争になっていて、研究素材の盗用疑惑と云った随分スキャンダラスな噂もあったのですが、結局仏チームに軍配が上がっていたんですね。
今回の受賞で決着がついていたことを初めて知りました。
不明を恥じるばかりです。

物理学賞は、日本人が3人で受賞!
すごいな。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/10/07(火) 08:43:02|
  2. 研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

今朝のTVに

物理学賞を受賞された益川氏が出演されていて、クォークがもしかしたらこれ以上(4個)はないのかもしれないと思いながら湯船を出ようとしたとき、前向きな論文にしようと思いなおしたのが、今回の6種類の「トップクォーク」につながっているというようなことをおっしゃっていました。何事も前向き思考が大切なんですね。エネルギーをいただいた感じです^^ 今回の3氏の物理学賞受賞と、この下村氏の医学生理学(化学でしたね・・・大汗10/9/19:36:Jap 訂正)賞授賞で、なんだか周りのみなさんに「お互いがんばりましょ! v-496 」と声をかけたい気分になってしまいました(笑)。ではDr.Kenさんにもv-81 
  1. 2008/10/09(木) 06:09:31 |
  2. URL |
  3. cafe owner #yw4sqTbg
  4. [ 編集]

日本では大騒ぎでしょうね。

いつもコメント、ありがとうございます、cafe ownerさん。
狙ってもらえる賞ではないので、すばらしい事だと思います。
島岡先生がブログに書いておられてますが、前向きになれないと研究者はやって行けない職業じゃないかと思っています。
http://harvardmedblog.blog90.fc2.com/blog-date-20070130.html
僕はそこまでえらくはなれそうにもありませんが、目の前にした自分の課題をこつこつクリアーしていきたいです(頑張ります)。
唯、気になるのは、マスコミの論調が、日本の研究環境は世界レベルだと云わんばかりの記事が散見されたので、誤解されると困ると思いました。今回の受賞、南部博士と下村博士はずっと米国在住で研究もずっと海外で日本で行われたものではありません。下村博士が朝日新聞のインタビューで、米国では日本人だからといって研究費獲得で差別され無かったし給料もよかったとコメントしていますが、今も大きくは変わらないと思います。
昔よりはずっと日本の環境はよくなっているでしょうが、英国のシステムを知れば知るほど、僕には偏った研究費配分になっている様に思え、偏った科学行政、外国人研究者が日本でポジションを獲得して業績を出して行ける様な環境の欠如などなど、とても世界トップレベルの研究環境とは思えないのです。しかも、今の日本の若者が、研究に夢を抱いても、食べて行く事への厳しい現実(少ないポジション、若手が独立した研究者として自立してやって行くためのチャンスの少なさ・インフラの欠如)が立ちはだかるので、有名な研究者の先生も日本の将来の科学技術の行く末を案じています(優秀な者はチャンスの多い海外へ海外へ出て行くでしょう)。
これをきっかけに、純粋科学にもきちんとファンドされ、透明性のある公平な研究費配分や形式だけのテニア・トラック制度ではなくて、米国の様なきちんと機能するテニア・トラックシステムが根付く事を願います。
  1. 2008/10/09(木) 09:05:55 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #HfMzn2gY
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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