英国医学研究留学記

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London Snap

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通常は5月ともなると、気温が20℃くらいを推移してくれる日が増えるのにも関わらず、連日15度前後くらいまでしか上がる気配もなく、寒くて雨の多い日が続いています。ロンドンに住み始めてもうすぐ5年になりますが、未だに暖房が止められないなんて、こんな事は初めてです。早く暖かくなってほしい。

締め切りに追われていたものは、ひとまず二つ片付きました。BMedSciのintercalated courseを選択していた学部4年生の医学部の学生君は、1週間延長してもらった締め切りのおかげもあり、なんとか滑り込んで大学へ提出する論文が間に合いました。中身の文章は、僕の視点からするとまだまだ大変に「不満」の残るレベルでしたが、まあ、学術雑誌に投稿するモノでは有りませんし、相手は学部学生ですから仕方がないでしょうか。あとは公聴会での口頭試問をパスできるかどうか、本人次第でしょう。この学生君、2年前の学生と同様、夏休みにプロジェクトを延長/継続したいと大学に申請していましたが、無事に(僕にとっては、実は無事じゃないんですけど.....記事『思ったようにはなかなか行かない』を参照 (-"- ))受理されたそうで、僕が担当した学生君たちはいまのところ夏休みのプロジェクトの延長を申請した者は100%の採択率という、迷惑な名誉な事?となっています。まあ、大学からは僕がやっている研究がそれなりの評価を受けていると云う風に、良いように解釈しましょうか。

もう一件、MRCの100周年記念Career Awardという研究費の申請の方も、無事に終わりました。こちらは、申請書の研究内容をどのように設定して如何に魅力的な文章にするのかと云うことよりも、働かない「大学の事務との戦い」で有りました。それはどういう事かと云うと、MRCは急にこのschemeを発表したモノですから、コストの計算も含め、従来からある研究費の申請と同様に捉えていいのか、それとも受賞者が全予算をすべて自由に研究に使っても良いと云う「賞=寄付」的なものなのか、当初はさっぱり判らなかったのです。こちらは申請する研究内容のブラッシュ・アップに専念したいので、そういう細かい事の確認は大学の事務が直接MRCに連絡を取って確認すべきことと思っていて、そうしてほしいとMRCがこれのスキームを発表した3月の時点で研究費申請支援チームの事務方にお願いしたのですが、なんと締め切りの2週間前にもなっても未だ、大学の事務はそういった事を全く把握していないばかりか、申請を予定している僕たち末端の研究者たちに回覧メールをまわして、「誰か把握しているヒトがいたら、情報をまわしてくれ!」と云って来て、正直、こいつらはバカかとあきれてしまいました。どうして直接電話をして聞くと云う、こんなに簡単で早いことが出来ないのでしょう?結局、忙しい中で「僕たちが自らMRCに連絡を取って疑問点をすべて問いただし、それを事務方に伝える」というはめに。日本にいた時は、国立大学の事務のあまりに官僚的な態度に良くぶつぶつ文句を言っていましたが、反省です。日本の大学職員さんたちは本当に良くやってくれます!
m(_ _)m
もう一点、大学の事務に辟易したのは、研究者に研究費をとらせるために支援する事務チームのはずが、「いかにして事務方への予算をMRCから奪うか」のほうに遥かに彼らの重きが有る、と云う点でした。今回の100周年記念は、結局は通常型の研究費と同じ仕組みでお金が支給されることが「我々の」努力で判明した訳ですが、通常は申請した全予算の8割だけをMRCが負担し、のこり2割は大学が負担します。そうすると、全予算の中で、研究に実際に使うコストだけ請求すると大学は赤字になってしまいます。ところが、実は予算に人件費を計上すると、「施設の使用料」「施設維持」と「研究支援に必要な事務コスト」などを含む、いわゆる日本の科研費に於ける「間接経費」が発生します。一人分の人件費を入れて大学のファイナンスに予算を計算させると、1年間の全予算枠10万ポンドのうち、実に5万5千ポンド(半分以上)が間接経費で大学事務に持って行かれ、残りの4万5千のうちポスドクの最低給料が3万5千ポンドほど、のこったたった1万ポンド(150万円程)しか研究には使えないことが分かりました。これでは研究に成らない(全く足りない)ので、事務に「人を雇うのを止めた形で予算申請したい」と伝えたところ、ふざけた事に「それでは間接経費が全くつかないので、大学としては認め難い!」と云ってきました。この時点で、前述の事務の怠慢のこともあったので、僕は事務方にぶち切れてしまいました。どうしてかと云うと、この100周年記念予算は、「すでに間接経費を十分に確保しているMRCのフェローシップ保持者たちしか申請できない」からです。つまり、このスキームでも間接経費を確保すると、ある意味大学は2重取りみたいなモノになる訳です。図々しいにもほどがある気がしませんか?この申請には、研究所長さんの認証さえ得ていれば(既に了承済みでした)大学事務の認証なしでも申請できるため(通常の予算申請は、大学事務の信認も必要です)、「研究そのものが推進できない予算編成では、申請に意味がない。それならば、人件費を全部削った形で、研究に必要なコストだけで勝手に申請するから」と最後通牒を突きつけたところ、必死で計算をやり直して、間接経費込みで、かつ、僕の必要最小限度の研究経費も盛り込んだ予算案を投稿ギリギリになって提示してきました。この案でも「実は大学は不満です」と余計な一言が付いて、僕をむっとさせたのですが、どうやって自分たちの分け前を分取ってやろうかと云う連中の執念を見た気がします。皆が有る程度妥協できる落としどころだと思ったので、彼らの「間接経費も確保したい」という希望も汲んで、彼らが最後に提示して来た予算申請案で無事に締め切りの前に応募できました。はっきり言って、事務の連中には疲れ果てましたが、あとは「果報は寝て待て」です。

女王陛下の即位60周年記念(Diamond Jubilee)行事がこの週はいろいろ執り行われていて、それにご出席されるために天皇・皇后両陛下が来英され、本日ヒースローよりご帰国の予定。日本人研究者仲間のImperial Collegeに留学しておられる循環器内科医H先生は、昨日はホテルから行事参加のために出て来られた両陛下に偶然?遭遇して感激されたとか(もちろん、警備が厳重ですから、直接目の前ではないはず。多分、道路の反対側から見かけたのでしょう)。また、僕の所属するS教授研に留学して来ている心臓外科医K先生の奥様は、2日前に、皇后陛下から直接お声をかけていただき大興奮であったようで、両陛下のロンドン訪問はロンドン在住の邦人には大きな話題でした。残念なことに、両陛下の訪問は、全く英国のメディアにニュースとして登らなかった事です。各国の国家元首が集う中で一つの国にだけ焦点が合った報道がないのは理解できますが、日本であれば英国の女王陛下の来日は間違いなくトップ・ニュースになるはずです。この辺りにも、如何に日本が英国からはあまり相手にされていないかを物語っている気がしてなりません。外交官達と外務省の日本の存在感を増すための奮起を期待します。

来週もなかなかに忙しいです。週末に研究費で採用するポスドクの面接、子供が通うprimary schoolでの来年9月にsecondary schoolへ進学する児童の父兄に向けての学校説明会、そして週の半ばに実験の都合で徹夜で作業しないと行けない予定も待っていて、もうしばらくはあまりブログを書けない状況が続きます。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2012/05/19(土) 13:15:08|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

Ken先生、お忙しそうですね。ロンドンの町並みは本当に懐かしく思いますが、こうして写真を拝見すると、自分は間違いなく駐留していたんだなと思います。今、エリザベス女王の式典やオリンピック前で活気づいてそうですね。秋になったらいつものロンドンの静けさに戻れるといいです。
忙しさがひと段落つきましたら、夏の写真も期待してます。
  1. 2012/05/20(日) 07:40:26 |
  2. URL |
  3. あき #-
  4. [ 編集]

あきさん

活気づいているという実感は、全くわかないのが実感です。もう、不思議なくらい。
それよりも、あまり好ましくない話題ばかりが目につきます。たとえば、市内の賃貸物件を大家がオリンピック期間中に「高額家賃で貸し出したい」ために、契約更新時に不当とも云える家賃の値上げを言い渡されたり(契約上の2ヶ月noticeをたてに)退去を言い渡されたりする話も良く聞きます。オリンピックとパラリンピックの8週間は、ボリス・ジョンソン市長の方針で日中の市内への車の乗り入れが厳しく制限されます。これは、物流が滞る事を意味するため、ビジネスだけではなく、研究活動にも非常に大きな影響が出ます(薬が手に入らないとか、モノが届かないなど)。それに加えて、日中は市内の移動に大きな混雑が予測されるため、ロンドンっ子たちは、多分ほとんどが「オリンピックを歓迎していない」様に見えます。少なくともロンドン市民が優先的にチケットを手に入れることが出来ればまだそういう感情は生まれなかったのだと思いますが、ロンドン市民の大半が応募したにもかかわらずチケットを手に出来なかった事も、災いしているのでしょう。
夏の写真、ご期待の添えるようにがんばります(夏らしい天気が有ればの話ですが、笑)
  1. 2012/05/20(日) 15:08:18 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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