GRD2 ISO80 f2.8 1/100s
今週に入っても、最高気温が10℃を越える穏やかな日が続いているロンドンです。
あちこちでラッパ水仙(daffodil)が咲き始めているのも目にするようになりました。ロンドンでは、daffodilが咲き誇り始めると、ますます春の到来の予感が強くなります。
天気予報に依れば、少なくとも水曜日まではこのような天気らしいです。
相変わらずばたばたした日々が続いています。
四十肩はだいぶ良くなりました。まだちょっと痛いですが、痛くて肩が動かせないと言う状況は脱しました。試薬を分注したり混ぜたりと言った単純作業が研究には多いですし、パソコンの前で同じような姿勢をずっととり続けていますから、そういった事すべてが負担だったんでしょうね。歳はとりたくないモノですが致し方ありませんので、今後は予防に努めなくてはなりません(こじらすと、却って仕事にならない)。
BMedSciの学生君は、抗体を使って蛋白の分布を組織標本上で確認してもらう実験をしてもらっているのですが、まじめなのにやはり結果が出ず、今週も悩みながらのトラブルシューティング。
フィブロネクチンと言った発現量の多い蛋白はきちんと免疫組織染色で描出出来ているので、手技はおおむね大丈夫なはずなのですが、ターゲットの蛋白の抗体が少々気難しいので、「丁寧に作業をしないと描出に失敗する」と言う事だと思います。僕が作業するとちゃんと染まるんですよね.....。彼にとっては、試練かもしれません。何度でもがんばってやり直してもらおうかなと考え始めたところです(←鬼?)
年に1回、講義などの学生への教育活動に関して、個人的な審査を毎年受けねばなりません。それを5月までに終了しておかないと行けなくて、今年は隣のラボの教授が僕の審査をする事になっていました。PBLはとっくに終わってしまいましたし、別キャンパスで行っている教育活動を審査して頂くのは隣の教授もちょっと嫌がったので、このBMedSciを選択している学生君にミニ講義をして、その様子を審査してもらいました。日本の大学は、学生への講義などが採点されたりしませんし、それが個人の評価になったりしないのですが、こちらではpeer reviewという形でobserveされますし、学生の方からもこちらの提供した内容が良かったかどうか評価されます。日本でも、ある程度、教育上の教員の活動を査定する仕組みがあった方が良いのかもしれません。そうすれば、やる気の無い教官が嫌々やっている「つまらない」講義は減るのじゃないかなと思う訳です。
先週の金曜日は、仕事を早めに切り上げ、学術振興機構ロンドン事務所が主催する在英日本人研究者会議に出席してきました。この会の目的は、学振が英国で活躍している研究者の方々から英国のアカデミックの仕組みや環境の日本との違いなどの意見を聞き、日本の科学技術行政に反映させるとともに、その作業を円滑に進めるためのネットワークづくりが目的と僕は捉えています。末端の研究者の身としても、ここで既知を得た英国の一線でご活躍の先生方がいっぱい居ますので、ありがたい会と思っています。今回もすてきな出会いがありました。母校の循環器内科からこの1月よりKings College(ロンドンにある超一流大学です)の教授として赴任されてきた大津欣也教授に、初めてお会いすることが出来、ご挨拶することが出来ました。母校の先輩が、すごい大学のポジションに就かれた事を誇りに思いますし、僕も頑張らないと行けないなとすごく刺激されました。また、慶応大学の小児科からケンブリッジ大学の有名な先生(Anne Ferguson-Smithさん)のところに留学に来られている山澤先生と奥様にも漸くお会いすることが出来ました。もうすぐ本帰国のうえ古巣にご復帰されるとの事で、帰国後のご活躍をお祈りしたいと思いますし、今後も同じ小児科医として、先々何らかの形で連携出来たらなと希望しています。
いままでは生物系の研究者達ばかりと顔見知りになってきましたが、今回はロンドン大Goldsmith校の音楽科で講師をしていらっしゃる松本さんと言うすてきな女性もいらっしゃっていて、仲間と一緒にいろいろとお話を伺えました。17世紀のイタリア・オペラをご研究されているとの事で、分野の違うお話は新鮮でとても面白かったです。もちろん、以前からの顔なじみの方々も多くいらっしゃって、皆さんお元気でご活躍されているお話をお伺いし、身が改めて引き締まる思いでした。その一方で、日本へ帰国してしまわれました方々も多く、それは少し寂しくもありました。
土曜日は、夕方から遮断鉗子先生が提唱/主催されている第2回目の「欧州赤提灯の会」に参加してきました。幹事は僕のボスのところにに留学されている心臓外科医K先生(HNはmiotectorさん)がして下さり、ロンドンの観光地のど真ん中、Covent Gardenへ集合しました。参加者は、僕、遮断鉗子先生(ドイツのボンで修行中の小児心臓外科医)、miotector先生(心臓外科医)、T先生(うちのボスのところに留学に来ているすてきな女性ですが、その正体は実は心臓外科医)、wnt11さん(医師になるべく勉強中の医学生)、タオルクランプ先生(東京でご活躍の歯科医)、ロンドンで小児科医として活躍しているK先生の日本人総勢7名でした。Covent Garden駅周辺のパブで食事とビールを片手に、楽しい時間を過ごさせて頂きました。目的や夢を掲げ、日々努力されている方々の話はアツいですね。この日も刺激になりましたし、パワーをいただいた気がします。皆さんに決して負けないように、とことんがんばっていきたいと思います。
テーマ:雑記 - ジャンル:日記
- 2012/02/27(月) 20:37:33|
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わざわざブログにも取り上げて頂いて恐縮です。改めまして先日はお会いできて光栄でした。先生の基礎研究への情熱を垣間見て頭が下がる思いがしました。が、採血で苦労されているとのことで勝手に親近感も感じました(笑)こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
- 2012/02/28(火) 00:41:58 |
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- Kazu #-
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Kazaさん
こちらこそ。
臨床も研究も、どちらもと言うのは普通は難しいですから、帰国後すぐのお仕事の間は、何を本当に自分がしたいのかしっかり見極める充電時間と思われたらいかがでしょうか?もし研究をお続けになられるのであれば、先々、どこかで一緒に面白いことが出来れば良いですね。
こちらこそ、よろしくおねがいいたします。
- 2012/02/28(火) 13:22:57 |
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- Dr Ken #-
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Ken先生、Mornington Crescent Sta.ですか。最近は全ての景色が懐かしいと思ってしまうほど、遠い昔のように感じてしまいます(笑)
- 2012/02/29(水) 12:54:15 |
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- あき #-
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よく見ると字は読めますが、よくわかりましたねぇ!さすがに土地勘がありますね。
この駅のすぐそばにBHFのHeadquaterがあります(実は写真の右の方に遠くに、BHFが入っている建物が写っています)。
- 2012/02/29(水) 15:53:37 |
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- Dr Ken #-
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Ken先生
もちろん研究は続けるつもりですが、どちらも中途半端になるといけませんね。それにしても久々の日本での臨床で今から緊張しています。。。
- 2012/02/29(水) 18:04:43 |
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- Kazu #-
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緊張していたら、慎重になっていると言う事ですから事故は起こさずに済むのではないでしょうか。久々の医療行為なのに、自信満々の方が怖いと思いますよ。寛容なのは「妙なプライド」は捨てる事でしょうね、患者さんのために。
現場を離れると、手技と言うのは怖くなりますね。何よりも医師免許がなければほとんどが「傷害罪」にあたりますからね~。
- 2012/02/29(水) 18:43:34 |
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- Dr Ken #-
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まだ駆け出しのころ、夜中にひとりで心マしたり、超未ちゃんに挿管したりしてました。皆が通る道でしょうけど、修羅場をくぐった、というのは心の拠り所になりますよね。実際の手技は思い出すでしょうが、修羅場の経験がしばらくないのがイタいです。どうか傷害罪にならないように。。。
- 2012/03/03(土) 12:16:19 |
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- Kazu #-
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僕も同じです。オンコールが間に合わず、一人で挿管・蘇生をし、NICU収容後にルートの確保から(当直の技師が夜間に当時は居なかったので)自分で検査もこなしていました。
怖さを知っている事は、大事な事です。無茶と無理をはき違える事も無いでしょう。最初は事故を防ぐために、一人でやらないようにうまく周囲に働きかけてうまくバックアップを付ける工夫も必要でしょうね。自分のためというよりも、患者さんのために当たり前のことをすれば、十分じゃないでしょうか。きっと、すぐに取り戻せますよ!
- 2012/03/04(日) 23:10:30 |
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- Dr Ken #-
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