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英国医学研究留学記

また雪

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昨夜からまたまた雪が降り、若干ですが積もっています。数日前の雪よりは少ないですが、今朝の通勤には大きな支障を来しています。

ここ数日の出来事を、まとめておきたいと思います。

まずは先週から再びBMedSciのコースが始まり、医学部4年生の子に実験を教えています。昨年の反省をふまえ、あまり複雑な事を要求してもどうせ出来ないので、組織学的な解析の一部を担当してもらうことにして、先週からこの2週間は組織切片を作る練習をしてもらっています。まじめな子なので、もうだいたい一人で作らせても大丈夫そうなので、来週からは抗体反応をしてターゲットの蛋白の分布を組織で調べてもらうつもりでいます。

火曜日には、古巣の○阪大学の小児科のI先生が、ロンドンへ偵察?に来ました。かれはこの4月から僕のボスのところに3年ほどを目安に留学する事が決まっていて、家族でロンドンのどの辺りに住もうかと、見て回る目的でやってこられました。仕事の話も少ししましたが、おそらくこちらに来てからは直接僕の下について指導する事になりそうです。

火曜日は忙しくて、I先生の学位の仕事のセミナーを聴いた後に、UCLにSigmaという薬品会社の主催するセミナーを聴きにいっていました。これはZinc Finger Nucleaseという画期的な酵素(昨年のNature Methodのmethod of the yearに選ばれた技術です)に関するモノです。この酵素は研究者が自在にゲノムの特定の領域を修飾するために、狙った箇所だけピンポイントに切断をすることが出来ます。技術そのものは10年程前から提唱されていたのですが、「狙った場所だけ正確に切断するための酵素のデザイン」が素人にはまず無理で、論文で知っていても「こんなんは、僕たちが気軽に使えなくて、蛋白のデザインのプロ達だけの技術」と思ってあまり関心がありませんでした。ところが、Sigmaと言う会社が「研究者のニーズに合わせた信頼ある酵素をデザインして売りますよ」というビジネスをこの春から始めると聞くに及び、「こりゃ~ちゃんとキャッチアップしておかないと大変だ」、と思うに至りました。セミナーはどういう商品かの説明が主だったのですが、そんなのは発表済みの論文でとっくに知っているので、知りたかったのはサービスの内容とズバリ「価格」でした。想定の範囲内の金額でしたが、まだ若干高いように感じました。そのうち値段はこなれてくるでしょう。すぐにでも使ってみたいアイデアがあるので、価格をにらみながら企画をしたいと思っています。このセミナーの後、ラボへ帰って、ボスとI先生らと供に夕食を食べに出かけました。食べたのはインド料理。S教授、いつもごちそうさまです!

昨晩は、子供たちが通うprimary schoolのschool consultationで、学校の先生との面談でした。学校生活での様子や、学習面での課題、親からの要望などを先生と直接対話するための機会です。そのために早引きをしないと行けなかったため、少し早めに大学を後にして、British Heart FoundationのHead Officeへ獲得したグラントのactivationに必要な提出書類を自分の手で持っていきました。英国の郵便事情は日本ほど信頼はお世辞にも出来ない気がしているので、これが最も安全な策です(期日内に着いていなければ、最悪、せっかく獲得した研究費を失いかねません)。

school consultationへ話を戻すと、日本の学校よりも、すごく学校と父兄とのコミュニケーションの機会が多く、これは良い事だと思います。来週からハーフターム(各学期の中間にある1週間の中間休み)のお休みが始まるので、ハーフターム前の恒例行事です。基本的には低学年の子供たちには学校の先生は褒める事しかしません。ネガティブな事は今までの経験からほとんど言われません。長所を伸ばす教育と聞けば聞こえが良いかもしれませんが、日本人の親にはちょっとほめ過ぎで却って物足りないかもしれません。primary schoolの先生は、基本的にはずっと同じ学年を教え続けます。つまり、1年生を持つ先生は、1年だけを毎年教えます。そのおかげで、下の息子はすでにお姉ちゃんが上の学年にいるおかげでXXXの弟ということですぐに覚えてもらえますし、何かと得をしている気がします。ご多分に漏れず、息子はまだyear 3なので、先生は本当かよと突っ込みたくなるくらいべた褒め。まあ、ほめられて悪い気がしないのは、万国共通でしょうか。上の娘はyear 5で、高学年になるとさすがに「足りないところ」はちゃんと指摘され、そこをどうやって補うかと言う話がきちんと出ます。10月にあったschool consultationで学習面での課題としてあげられた事項について、先生からすべてが劇的に向上していると言うお話で、10月の面談では家庭でも努力してほしいと言われていて、いろいろと妻と今まで画策してきた事が効果が出ているようだと知り、こちらも嬉しく思いました。今日の雪で学校は閉鎖にはなりませんでしたので、今日が娘達にとってはハーフターム前の最後の登校になります。

子供の通うprimary schoolの理科の先生ミセスT先生から、3月半ばにあるScience Weekに、「お医者さんの仕事」や「医学」について、学校に来て子供たちに話をしてくれないかと頼まれています。お願いされた日はほかに重要な案件が無いので、面白そうなので協力することにしました。それで、具体的に何をしたら良いのか、school consultationで学校によったついでに、ミセスT先生とも少しディスカッションしました。子供たちの前でするプレゼンの中身は自由に考えてもらって良いそうなので、娘と相談しながらどういうのが面白いと思うかを少し考えた上、また少し先生とディスカッションが必要でしょうね。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2012/02/10(金) 13:02:06|
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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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