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英国医学研究留学記

C-sections

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今朝も霧でしたが、昼までに霧ははれました。ロンドンらしい天気が続いています。
日本では勤労感謝の日ですか。祝日が多いのがうらやましいです。英国は本当に祝日が少ない。もっとも、祝日がなくても英国人たちはばーんと休みを取りますから、関係ないかもしれませんが、日本人はそういう休み方が心情的にできませんので、もっと祝日があると精神的に気が楽なんですけどね。

今朝のBBCニュースで、「妊婦が自由に帝王切開か正常分娩か希望して選べるようにする」ということが話題として報道され、個人的にはちょっと驚きました。
Women can choose Caesarean birth
帝王切開は、確かに大きな手術ではありませんし、母体や胎児を救うのに緊急で行うくらいですから、あるいみ母子に取って最も安全な「人の手で完全にコントロールされた」お産であるといえるかもしれません(産科の先生は違う意見かもしれませんので、あくまで赤ちゃんの蘇生のために、お産に立ち会っていた小児科/新生児科の医師の私見と考えてくださいね)。でも、もちろん手術ですから麻酔もいりますし、切開しないといけない訳で、そういう侵襲を伴う手技であるからには、きちんとした「適応条件」を満たす場合、つまり、母体、胎児、もしくはその双方の生命の危機を回避するに足る正当な理由がある場合にのみ、日本では行われます。これは至極常識的で全うなやり方だと思います。

英国では、妊婦の不安(陣痛に対する恐れや、お産にまつわる様々な人的サポートなどに対するものも含めて)を軽減するために、いままでも帝王切開を行ってきたようで、これを拡大して、リスクを十分に説明し納得していただいた上で本人が希望するなら、医学的な適応条件は関係なく帝王切開をしましょう、という訳です。たしかに、お産は何があるか読めない部分がありますので、どちらが安全とは言い切れないかもしれませんが、やっぱりなんだか極端やなぁ....、と思うのです。さすが、自宅出産の比率も相当高いと聞きますから、「どこでお産するか」「お産の方法はどうするか」の決定も、「妊婦さんの自己責任において」妊婦に選択権があるということなのでしょうね。

今日は、たまたまラボに見学に来ている医学部の2年生の男の子が、僕と話をしたいというので、いろいろとおしゃべりをしながら実験をこなしています。将来は何になりたいの?と聞くと先天性心疾患を手がける小児心臓外科とか(これも奇特だねぇ、ある意味)。僕の専門は元々小児科というと、以前記事にしましたが、日本と同じく英国でも小児科は人気がないとのこと。一応、彼が小児科医を目指すようになると思いませんけど、小児科のやりがいについては語っておきました(だって、僕なりに小児科医としての意地やプライドのようなものもありますしね。なんでそんなのを選んだの?っていう視線は「矯正」しないと、笑)。
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テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2011/11/23(水) 14:44:06|
  2. 英国
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

おはようございます。

アメリカでも、出産方法に関しては色々と議論があります。この辺は私には知識があまり無いので良く分かりません。方法がどうであれ出産自体が大変なことですからね。確かに手術に係わるリスクもありますが、自然分娩に関してもリスクがあるわけで.....こう考えると、何が何やら。????

きっと自然分娩のリスクとC secのリスクがどうとうならどちらを選んでも良い、と言う事なのでしょうか?

うー、、やっぱり専門外のことは分かりません。  : (
  1. 2011/11/24(木) 17:30:26 |
  2. URL |
  3. surgeon24hrs #xJW3mR9c
  4. [ 編集]

surgeon24hrsさん

先生、こんばんは。
これ、難しいですね。NICU勤務の時には、院内の異常分娩には常に立ち会っていましたから、(異常分娩と比べると正常分娩はほとんどが何も無いのですけど)それが故にお産は怖いなと思います。そういう立場に立つと、帝王切開は医療サイドからすると確かに「安心感」は有るんですよね。
けれどもそうだからといって、自然の摂理である経膣分娩を「陣痛が怖いから」「不安だから」という理由で回避してしまうのって、不自然な事なんじゃないかという気がします。もっとも、女性の立場からすると、お産をしない男が勝手なことを言うなとも云われそうですが、おなかを痛めたからこそ、我が子がさらに愛おしく思えたりはしないのでしょうか?
何が正解か、判んなくなりそうですが、直感的な僕自身の信条としては、やはり「不自然なこと」をやるには「それなりの理由があるべき」と思うのです。
  1. 2011/11/24(木) 22:03:41 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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