英国医学研究留学記

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heart unit closure~続報~

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朝から今日もPBLのセッションを受け持ちました。2時間、英語でしゃべり続けるのは未だにちょっと疲れます。もっと気楽にペラペラとしゃべれるようになりたいモノです。

先日、ブログに書いた、Royal Brompton Hospitalの小児心臓外科のUnitが閉鎖されるかも知れないと云う記事の続報です(paediatric heart surgery 参照)。

一応、英国の高等法院のjudgeが出ました。NHSの一部がNHSの別部門を訴える形でしたが、高等法院はまずはRoyal Bromptonの小児心臓外科を閉鎖するという意思決定のプロセス、特に施設が医学の進歩や最先端の研究成果に対して十分に精通できるどうかの審査過程(Royal Bromptonはこの点が"poor"と判定されていました)が適切ではなかったと認めました。
Royal Brompton Hospital wins review into heart unit closure

一方で、Royal Brompton側の主張の多くが退けられています。
たとえば、Royal Brompton側が主張する以下の事、
1. 審査が始まる2010年度以前から、Evelina HospitalとGreat Ormond Street Hospitalを残すと云う決定が既にされていた。
2. 小児心臓外科を閉鎖すると集中治療上の技術が低下もしくは失われ、呼吸管理部門にも大きな影響が出る。
3. 審査側の委員の多くが、小児心臓外科が残されることになったEvelina HospitalとGreat Ormond Street Hospitalの出身である。
などは根拠が無いと云う事です。

この裁判所の判断で、じゃあ、小児心臓外科のセンターの統廃合/再編成に伴ってRoyal Bromptonのクビがつながるかと云うと、そうは問屋が卸さないらしく、BBCの記事を見ると、ただ単に先延ばしになっただけのように見えます。つまり、結局もっともらしい理由をつけられて閉鎖されてしまう可能性が高いような印象です。

病院名は僕は未だ把握していませんが、小児心臓外科ユニットとしての成績や機能が十分に基準を満たしているにも拘らず閉鎖の危機に瀕している病院がRoyal Brompton以外にももう一つあるそうですから、やはり端から見ると「イングランド/ウェールズ内で最初にいくつ残すか?」がすでに決まっていて、後は帳尻を合わすためにどこを閉鎖するのか、という議論がなされたようにしか見えないです。それならそうと、「患者数と予算から算出した必要なセンターの数」を基に、正面からそういう議論をすれば、未だましだったのかな?と云う気がしないでもありません。僕の目からみると成果の出ている(技術を維持している)部門を閉鎖するのは何とももったいないですけどね(いちど無くすと、元の状態へ戻して再開するのはとても時間とエネルギーが必要です。なぜなら、医師のスキルだけでは動かないから。看護師や医療技師などのスキルは、やらないと失われてしまいますから、失われた組織のスキルを取り戻すのは簡単では有りません)。

この騒動、落ち着くまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

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テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2011/11/07(月) 13:51:55|
  2. 英国
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

小児科について

以前、一度コメントを書かせて頂きました。茨城県に住む男性です。会社員でネットワークSEを仕事にさせて頂いていますので、医療や病院についての事はさっぱりわかりません。ほとんど、病院と縁がない躰なのでなおさらです。記事を読ませて頂き、ずいぶん乱暴な裁定だなぁ~と感じました。日本の小児心臓外科の現状さえ分からないまま、コメントするのもなんですが、
英国の高等法院の裁定とは、法律的に絶対なのでしょうか?閉鎖とは穏やかではないし、第一にここを頼りにしている患者の方が困るのではないのですか?また、勤めている医師や看護師はどうするのでしょうか?
  1. 2011/11/08(火) 11:12:08 |
  2. URL |
  3. 常陸のきょろ #-
  4. [ 編集]

こんばんわ~

さすがは高緯度のロンドンもうすっかり秋ですね~
この木は葉っぱの感じからすると桜でしょうか
緑の芝生に落ち葉がステキです~v-35
  1. 2011/11/08(火) 13:07:16 |
  2. URL |
  3. yo #vYXebdWU
  4. [ 編集]

おはようございます。

続報、有難うございます。このようなニュースはイギリス国内から出て行くことが無いと思うので、大変に興味深く拝見しました。

感心するのは行政の決めることに対して当該機関が訴えるという制度。この辺に関してはヨーロッパらしい制度の成熟を感じます。
  1. 2011/11/08(火) 15:56:06 |
  2. URL |
  3. surgeon24hrss #xJW3mR9c
  4. [ 編集]

Re: 小児科について

常陸のきょろさん
コメント、ありがとうございました。

まずは高等法院ですが、英国には最高裁が無く、それに相当するのは国会になりますので、独立した司法では高等法院が最も上で、それでも納得がいかない場合は国会へ、となる様です(間違っていたら、誰か訂正して教えてください)。今回の判決がどこまで絶対的なのかは、僕個人はちょっと判断しかねますが、ひとまずはRoyal Brompton病院側の主張である「決定の過程がフェアではなかった」と云うものが認められたので、端的に言うと「審査をフェアにはじめやり直しなさい」と司法が判断した、と言えるでしょう。

もし、当該の小児心臓外科が閉鎖になったとしても、病院が丸ごと無くなる訳では有りませんし、しかもロンドンでの話ですから、患者さんは多少は迷惑するでしょうが他のロンドン内の病院へNHSが責任をもってまわすでしょうから、閉鎖になったことに拠る短期的な不利益はあまり無い気がします。医師や看護師も、基本的にはNHSの職員、つまり国家公務員みたいなものですから、職を失うのではなく配置換え、つまり他院の小児心臓外科ユニットへ配置換えになるものと思われます。

乱暴に見えますが、「なぜそうしなければ行けないのか?」が納得できる形で提示されているかどうかが問題で、理由がはっきりしていれば「乱暴」とは思わないかもしれません。Royal Bromptonは多くの手術をこなしていますし、施設としての成績は恥ずかしくないので、閉鎖は僕はもったいないと思いますが、たしかにセンター化してマンパワーもそこへ集約してしまう方が、「国としてのコストダウン」になるのと容易に想像できます。特に、現政権の保守党は、かなり強引な歳出削減政策を推し進めていますから、これはやはり国庫の支出を抑える策の一環と考えるのが正しいのではないかと思っています。

逆に、日本ではもっとこのような大胆な方針を断行する必要があると感じています。心臓外科に関して言うと、年間手術数が20例にも満たない病院が日本には一杯あるのです、手術と言うのは、数をこなす方が上手いに決まっています。いくらオラが街の病院が近くて便利とはいえ、心臓の手術はヘタクソにすると患者さんが亡くなりますから、良い医療サービスを提供する事を主眼に於けば、手術をして良い病院をもっと制限して行かないといけないはずなのです。
  1. 2011/11/08(火) 17:59:40 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

Re: こんばんわ~

yoさん
秋どころか、晩秋ですよ~
さすがyoさん、おっしゃる通り桜です!
  1. 2011/11/08(火) 18:01:04 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

surgeon24hrsさん

先生、コメントありがとうごいざいます。
BBCの論調だと、結局はやはり閉鎖に追い込まれるとの見方が強い様ですね。たしかに、社会が成熟していると、いろんな所で思う事が多いです(具体的には書きませんが)。
イラク戦争に関しても、その意思決定に関わった人物が全員国会で喚問されていますからね。日本には無いですね、こういうのは。決めたは良いが、必ずうやむやにしますから。
  1. 2011/11/08(火) 18:04:46 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

続報を興味深く読ませて頂きました。

やっぱり閉鎖の方向とは。surgeon24hrsさんも書かれていらっしゃいますが、それが裁判で争われるとは。驚きでました。

前回、コメントさせて頂いてから考えたのですが、日本は国の明らかな方針というのが全くないまま、法的拘束力のない学会主導で心臓外科の施設の問題を決めようというのが問題のような気がしています。何につけてもそうですが、はっきりとした将来のビジョンがない、ということでしょうか。
  1. 2011/11/09(水) 16:51:51 |
  2. URL |
  3. 遮断鉗子 #-
  4. [ 編集]

遮断鉗子さん

日本と違って、欧米では「異を唱える」のもはっきりと保証された「権利」ですから、ある意味納得いかない場合は当然かもしれませんね。逆に、日本人らしくしおらしく黙っていると、どんな決定であろうとその中身に「ハッピーである」ととらえられるので、アンハッピーの場合ははっきりと「納得がいかない」と言わないと行けないのがこちらの文化なのだと思います。日本でやると絶対にクレーマーとして嫌われるでしょうけどね。中には、「どうしてそんな主張が出来るの?」と頭をかしげたくなるもの(「とりあえず言ってみる」という感じに近いもの)もあったりしますが。

ただ、昨今の日本での「モンスター・ペアレンツ」などのクレーマーとはちょっとおもむきが違いますね。日本では「権利意識」では無くて単なる「自分勝手」がほとんどと思います。この辺が、歴史的に個人主義を前提とした民主主義が育った国と、そうじゃない国の差に思えます。

医療制度に関しては、医師会と学会と大学医学部講座の利権/論理優先の仕組みに見えますね。ですから、研修医の身分が奴隷のような状態がずっと続いていました。まあ、身分を保障したいまの臨床研修制度での研修医達をみると、「もっと真摯に研鑽を積もうと言う姿勢は無いんか!!!!」と怒りたくなる手合いが凄く多い気もしますが、少なくとも僕たちの研修時代はひどかったもんです。勉強にはなりましたけどね。外科も含めた、「専門医」、少なくとももっと「中身のある」モノにして、人数に制限をかければ、競争の激しい分野を避ける人も出るでしょうから、科目ごとの医師数の不均衡も是正できそうですけどね。まあ、自由に診療科目を標榜できる方が開業には良いので、医師会は絶対に「イエス」とは言わないでしょうね。国策として国が大鉈を振るわないと、何も変わらぬまま、現場は疲弊し医療サービスの質は低下して行くのじゃないかと心配しています。
  1. 2011/11/10(木) 16:19:58 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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