英国医学研究留学記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

paediatric heart surgery

R0019258.jpg
GRD2 ISO80 f5.6 1/400s
今日は穏やかな秋の一日です。また、今年の夏時間の最後の日でもあります。
明日からは冬時間(世界標準時)に戻しますので、日本との時差は9時間(日本が早い)になります。

結局、風邪を引いた息子は熱が下がるのに少々もたつき、ハーフ・タームの今週は、妻はずっと家で看病するはめになりました。おかげさまでもう大丈夫なのですが、まだ本調子ではないので今日の日本人学校補習校はお休みさせました。娘にはとんだとばっちりで、買い物にも出かけられず、ずっと家で過ごすはめになり、ぶーぶー文句を言っています。症状からはインフルエンザかなとも思いましたが、外来で散見するとは聞いていますが、イングランドの感染症サーベイランス上はまだ流行期というにはほど遠い感じで、インフルエンザでは無かったのかも知れません。

つい最近、Facebookを始めました。といっても、なんとなくアカウントを作ったものの良くわかんないですし、スマホも持っていないので放置していたのですが、3週間ほど前に医学部の同級生が見つけてくれ、そのとたんにあっという間にいろんな人と繋がってしまい驚いてしまいました。そのFacebookには昨日載せた話題なのですが、ブログでも以下に取り上げてみようと思います。

現在のイングランド/ウェールズでは、小児の心臓の手術をこなす11のセンター病院が有ります。国/NHS(National Health Service)が各々の病院の技術などを査定して、手術すべき病院かどうかを定期的に審査しています。この結果、いまのところこの11の中で4つの病院で、小児の心臓の手術は禁止されることになりそうです。
Analysis: The debate over closing child heart surgery units
その閉鎖される小児心臓外科の有る病院の中では、何例か最近続けて手術でのトラブルの報告されたOxford大のOxford's John Radcliffe Hospitalが入っていて、この病院にはすでに国から手術をしないようストップがかかっていますが、おそらくはもう小児の心臓の手術はこの病院では今後出来ないでしょう。

このような査定をするようになった背景には、じつは1990年代にBristolであった、未熟な心臓外科医による手術で立て続けに子供たちが亡くなったスキャンダルが有り、この事件を契機に、一定の水準と成績の手術が常にこなせているのかどうかを第三者機関が常に監視をする体制になったのです。

今回、11から7つに小児心臓外科のセンターを減らすにあたり、ロンドンには今は3つの病院(King's Collegeの病院であるEvelina Hospital、UCLの病院である欧州最大の小児病院Great Ormond Street Hospital for Children、そしてImperial Collegeの病院であるRoyal Brompton Hospital)のセンターが有りますが、そのうち、驚いた事にRoyal Brompton Hospitalの小児心臓外科は閉鎖しようという事になっている事です。まあ、ロンドンに3つもセンターは要らないとだけ聞くと、そうかもなと思うかも知れませんが、この3つとも年間500例くらい手術をこなしている病院ですし、どれもが高い水準の技術を提供していて、しかもRoyal Brompton Hospitalには、前述のOxfordやBristolのようなトラブルはいささかも無い一流の病院なのです(もちろんEvelinaもGreat Ormond Streetにも問題は有りません)。どうも、僕の印象では、この背景には政府の歳出抑制政策を含むNHS側のコスト削減が背景に有るような気がします。で、最初に「ロンドンにあるセンターはもう2つにしてしまえ!」という結論がまずありきで、それで後はどこを閉鎖するかという政治的パワーゲームに負けてしまった、ということでしょうか。ちょっと調べただけですが、新聞記事にもどこにもコスト削減のためとの理由もどこにも記載が無くて、僕にはRoyal Brompton Hospitalを閉鎖しなければならない理由が良くわかりません。とうぜん、Royal Brompton Hospitalは全く納得していなくて、「政治的暴力だ」とどうやら訴訟にまで発展しているようです。
Royal Brompton Hospital child heart unit closure 'vandalism'

首都の病院ですし、欧州中からもプライベート診療が受けられやすい土地柄で、かつ英国内からもアクセスは有るでしょうから、技術が確かならば別にそのままで良いじゃないかという気がします。そんなことを言ったら、東京都に小児心臓外科のある病院、いったいいくつ有ります?(イッパイ有る!!)。日本人的感覚からして、もしこれが国庫の歳出削減のための策ならば、ずいぶんと思い切った(極端な)策やなぁと驚いてしまいます。これ、「阪大病院は今までは何も問題なかったけど、べつにそこで手術せんでもよそでこなす事で足りるから明日から手術は禁止です。」と突然に云われるのとほとんど同じですよね(ちなみに、Imperial Collegeって、世界の大学ランクでは常に東大よりもずっと遥か上をいく、超一流の大学なんです)。このブログを見てくださる心臓外科医、循環器小児科医、医学部の学生さんにも、是非に感想を聞いてみたい。日本じゃあり得ないですよね、こういう事は。逆に日本は手術している病院が多すぎるので、個々の病院のレベルをあげるために、もう少し手術すべき病院を国がコントロールすべきかなと思います。

この、英国での小児心臓血管外科にまつわる騒動、訴訟も含めてまた進展があれば、記事にしてみたいなと思います。

追記
拍手コメントをくださった方へ
連絡先が判りませんので、お返事をすることが出来ません。
コメント欄に、匿名でそちらの連絡先(メールアドレス)をお知らせください。
いくつかアドバイス差し上げることは出来るかと思います。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2011/10/29(土) 14:06:44|
  2. 英国
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
<<Summer time has ended. | ホーム | Personal Development>>

コメント

私もフェイスブックを開いて数ヶ月ですが、最近は全く利用してません。 もう少し国内メジャーになるまで様子見ですなあ。
  1. 2011/10/30(日) 00:39:18 |
  2. URL |
  3. tak+ #-
  4. [ 編集]

心臓外科医の端くれとしては、なんとも他人事と思えないニュースで驚きです。先生の記事でもある通りRoyal Brompton Hospitalは世界でも知られたすばらしい小児心臓外科の施設なので信じられない気持ちでいます。そこで今働かれている先生方はどうされるのでしょう。まだ若い先生方は他で就職も可能でしょうけど。。
僕の今住むドイツでは成人の心臓外科の施設はセンター化が進んでいますが、小児はやや無法地帯で、大人の施設で数少ない(といっても年間100例程度の)小児の手術をほそぼそとこなす施設もあります。
日本では学会主体で年間手術数50例以下の施設には心臓外科の施設認定をしない制度が始まりましたが、法的な拘束力はなく、実際には年間手術数に関係なく心臓外科を標榜して手術は可能です。そのうちこの手術数を100例にする方針とのことですが、そうすると約半数近くの心臓外科は認定施設ではなくなる可能性があり、それにはいくつかの大学病院も含まれる事が予想されていますので、実現するかどうかは非常に懐疑的です。日本の心臓外科の病院の不思議なところは、年間20例、30例しか手術してないところは別として、年間150例くらいの所だと、心臓外科医も含めたICUや病棟の看護師さんなどのコメディカルもかなりの超過した時間外労働をしないとその数がこなせない、という事です。それ以上は増やす余裕が、物理的にも人材的にも難しいところがほとんどだと思います。施設の集約化は日本の心臓外科においてもはやさけられないところに来ていると思いますが、それにかわるセンター的なものがほとんどない中で、溢れ出た患者さんをどうやって受け入れていくのだろうと疑問になります。日本での施設集約化は、センター設立がまず前提でないと実現は難しいかもしれない、と個人的には思っています。
このニュースの続報、とても楽しみにしています!!
  1. 2011/10/30(日) 11:35:48 |
  2. URL |
  3. 遮断鉗子 #-
  4. [ 編集]

こんばんわ~

なんとなく秋っぽい風景ですね~
車が左側通行だし日本と言われたら信じるかも
電柱が無くて空が広いのもポイントe-287
  1. 2011/10/30(日) 11:41:02 |
  2. URL |
  3. yo #vYXebdWU
  4. [ 編集]

Re: タイトルなし

facebook、僕は既知を得ている外人の研究者と繋がるかなと期待したのですけど、意外と彼らの方がアカウントを作成していなくって、結局、繋がっているのはほとんどが日本人という予想外の状況になっています。居あk街の方が確かに利用者は多いのですけど、若年層とスマホ保持者に偏っているんじゃないでしょうかね。でも、しばらく会っていない高校や大学の同級生と繋がるのは、結構楽しいですよ。
  1. 2011/10/30(日) 16:37:16 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

遮断鉗子さん

コメント、ありがとうございます。ね、やっぱり耳にした第一印象は「信じられない!!!!」ですよね。
日本の現状についても、貴重なご意見ありがとうございます。
この件に付いては、私見を申し上げると、
1. 年間手術例がやはり100例に満たないというのは、技術を維持するのに問題があるので、センター化すべき。
2. 年間手術例が増えることによって、職場が過重労働に陥ってしまう仕組みがそもそもおかしい。こういう「国益」「国防」に類するたぐいのシステム作りには、まずは医師会などの「開業医の利権を守る」のが前提の仕組みではなくて、まずは「良い手術をコンスタントに、しかも国内で発生する患者数を十分にこなしうる数を揃える」という視点に立脚すべきでしょう。そもそも、「小児~」と付く部門(小児科、小児外科、小児心臓血管外科)は、誤解を恐れずに言うとそもそもが現行の仕組みでは手間ひまもかかりコストの高い部門ですから、そのコスト高で手間ひまがかかる事をきちんと国が支える仕組みになっていないこと自体がおかしい、と思います。

以前に似たような議論をしましたが、やはり、国が先導して「国内の各地域に年間何例の患者数の発生が予測され」「いくつの病院と専門医がいれば、それをあきらめずにこなしきれるのか」という試算がそもそも無い事自体がおかしいのです。小児科医も産科医も、「足りないから増やせ」だけではなくて、どの地域に南院足りないのか?という話が全くないですよね。これは「国が無策である」と言っているようなものじゃないかと思います。
  1. 2011/10/30(日) 16:45:58 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

Re: こんばんわ~

yoさん
もう完全に秋ですよ~。っていうか、もう晩秋を通り越して冬ですね。ハロウィーンですけど、楽しまれていますか?
日本車も多いですし交通標識も良く似ているので、町並みが無ければ日本と間違う人、いるでしょうね!
  1. 2011/10/30(日) 16:48:11 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

おはようございます

おはようございます。

これは大医療だけでなく経済、国政にまでかかわることなので、なかなか難しい問題ですね。同じ分野に身を置くものとして、そしてNHSでの就労経験のある者としては色々と思うこともありますが、一言言おうとするだけで相当長い稿になってしまうんで、ここではチョイト無理か。  : (

Bristle scandalは知っていましたが、それにしてもその後このように進展しているとは知りませんでした。

私が20年ほど前にイギリスにいたときに、詳細は忘れましたが、Bromtonの何かの部署が縮小だか廃止になって話題になった事があったのを思い出しました。NHSは将来的にBromptonを閉じる方針なんではないか、とささやく人すらいました。

日本は確かに、小児に限らず心臓外科を標榜している病院が多すぎですね。手術数が少なすぎて、どう考えても採算が合わないのでは、と思えてしまうのですが、いつまでもなくならないので不思議です。
  1. 2011/10/30(日) 20:16:13 |
  2. URL |
  3. surgeon24hrss #xJW3mR9c
  4. [ 編集]

Re: おはようございます

surgeon24hrsさん
先生、コメントありがとうございます。たしかに、医療システムのみにとどまらないので、多方面の利権が絡むので、難しいのでしょうね。
どうも、今盛んにNHSの中でいろいろな統廃合が進んでいるらしく、うちの大学もUCLと統廃合の進んでいる部門が有るようです。ただし、我が大学は研究面ではロンドンの一流大学に大きく水をあけられていますが、臨床面はなぜか力が有るようで、この統廃合も基本はうちの医学校絡みの施設にUCLの側が吸収されるようなんです。どうも、こういった動きには(先生の方が実際にNHSで働かれた経験がおありで、ぼくは臨床畑からは距離が有るので、先生の方がお詳しいのだと思いますが)、僕には実績だけではない「政治的」においがぷんぷんします。ちなみに、NHSの創設に僕の今居る医学校のOBが相当強く関わったようで、それもなぜかNHSの中では力が有る理由なのかも知れません。一方で、20年も前からRoyal Bromptonにそのような話が合ったという事は、政治的にbehindな何かが恒常的に有るのかも知れませんね(僕個人の穿った見方かも知れませんけど)。

日本は、基本的には患者さんにとっては誠に良い医療制度だと思いますが、政治や経済と同様、「先行き、日本の医療をどうしたいのか?」というビジョンは全く感じられず、はっきり言えば行き当たりばったりに見えます。本当はこのままで良いはずは無いと思うのですが、変わらないですねぇ。僕の友人が、「政策の提案が、専門家にゆだねられていないで、完了が理解し賛成してくれないと、いくらモノが良くても全く実らない」と嘆いていました。構造的問題も根深いのかも知れません。
  1. 2011/10/30(日) 23:30:26 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2011/12/29(木) 13:10:38 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

2011/12/29(木) 13:10:38の鍵コメさん

メールいたしましたので、そちらをご覧ください。取り急ぎ。
  1. 2011/12/29(木) 18:08:01 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ukresearchlife.blog17.fc2.com/tb.php/874-a8f60b24
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

当ブログの写真および記事とは直接関係がないと判断したコメントやトラックバックは、申し訳ありませんが削除させていただきます。ご了承ください。

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

未分類 (337)
GRD2 (171)
日英の相違 (21)
英国 (282)
研究 (20)
映画 (4)
万年筆 (1)
医学 (10)
旅 (83)
科学技術政策 (2)
日本 (17)
Rolleiflex (25)
Leica (21)
Contax T2 (16)
Contax T3 (4)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。