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英国医学研究留学記

ひな祭り

imgSumma003.jpg
Leica M3 Summarit 50mm f1.5 Fuji RA
午後から日が射していますが、今日も肌寒い一日。

ひな祭りですが、日本を出るときにひな人形は日本へ置いてきてしまったので、娘には日本にいると普通に体験できる行事を体験させてあげられないのが残念です。毎年、それでも妻が工夫をして、色紙で手作りのおひな様を作ったりしています。

写真とタイトルが全く一致していません(笑)。しかもロンドンじゃなくて、渡英前の大阪で撮った写真です。荷物を整理していたら未現像のポジ・フィルム(3年間寝ていました)が出てきたので、現像しました。意外とつまらないものばかり撮っていて、ポジを見てがっかり(笑)。

この写真を撮ったLeica M3は、日本にまだいる時分に偶然にも父の友人からレンズ付きでただで譲り受けました。ご尊父の形見だと聞きましたが、使い方もわからないので大切に使ってもらえそうな人がいないかと父に話が来て、カメラが好きな僕に話が回ってきたのでした。頂いたときにはカビも生えていて動作も怪しかったのですが、東京のライカ修理では有名な某名人に依頼して完全に動作するように整備してもらい、気持ちよく使えるようになりました。M3は何と言ってもカメラ史に燦然と輝く20世紀を代表する工業プロダクトですから、現行のカメラの方が性能が良いに決まっていますが、いじっていて楽しいカメラです。こういうあらゆる部品が「アナログ」なものは、機械式時計も含めて50年以上たっているにも関わらず修理すれば使えます。自分の祖父や曾祖父の時代のものが今でも使える事は、素敵なことと思います。

レンズは、クセ玉として有名なSummarit 50mm f1.5です。今から50年以上前の販売当時は最高性能のレンズであったのでしょうが、使ってみると結構気難しく、条件次第ではハレっぽく時には盛大にゴーストが出ます。でも、しぼるときりっとした画像になります。現代の高解像度で高コントラストなレンズに比べると線の細い柔らかい描写になり、結構気に入っています。ただ、手元にあるレンズは少し痛んでいるのか?カラーでの発色は何となく暖色系に偏る傾向がある気がしています。印象としてはモノクロによく合うレンズと思います。ただし、それほど偉そうに語れるほど使い倒している訳でもありませんし、僕が手にしているレンズに限った話でズマリット全般に一般化できる話ではないかも知れません。英国に来てフィルムで写真を撮るのが高コストで棚の飾りに成り果てていたM3ですが、スキャナーを手に入れた今、譲ってくれた方の厚意に報いる意味でも、ぼちぼち使ってあげたいなと思っています。

京大の入試での不正事件に関して。つまらないことでこの浪人生は人生の大切な時期を棒に振ったなという気がします。僕も受験生のときには出身大学で人生が決まると思っていましたし、医者の世界も旧帝大とそうじゃない場合とでは人生が大きく違うと思い込んでいましたが、実際に社会に出てみると旧帝大を出ているから安泰な人生が待っているかというと全然そんな事はありませんでした。世の中は甘くないです。今の若い人に云いたいのは、日本の大学のブランド名なんて、米国や英国では何の評価にもならない狭い日本の中だけで通用しているつまらないことですから、むしろ「将来何がしたいのか」「そのために何を身につけ学んだのか」を大切にしてほしいなと思います。僕が住む研究の世界では、「何をしてきて」「今何をしていて」「今後何をするのか」が全てです。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2011/03/03(木) 16:38:40|
  2. Leica
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

どこか女性目線のような柔らかい、優しい感じの御写真ですね。色合いからでしょうかそんな印象です。

カンニングの一件は個人的には許し難いと感じていますがニュースではカンニングで罪に問われることはなく
恐らく適用されるであろう罪状、偽計業務妨害でもおそらく少年であることから厳重注意くらいですまされる
ようです。解説者も擁護する発言が目立ちます。まぁ今年の就職戦線ではネット応募の手軽さが災いして企業も
膨大な履歴書に目を通す暇がなく出身校でまずは選別するなどと聞くと少しでも有名校に行きたいという
気持ちは分からなくもないのですが、人生やっぱり正直が一番だと思うのですが、難しいところです。
しかし日本全体としてモラルの低下が顕著なのはとても残念です。
  1. 2011/03/03(木) 17:23:36 |
  2. URL |
  3. adelie #-
  4. [ 編集]

Re: タイトルなし

adelieさん
オールド・レンズには、現行レンズには無い魅力が一杯あると思いますが、そのかわり失敗も量産します。
まあ、楽しければ良いという事で。

マスコミでは擁護論が出ているのですか?許しちゃだめでしょう。やった事には責任を取らせないと。少なくとも今年の入学はどこの大学も駄目でしょう。京大への入学も、今後も認めてはもらえないでしょう。ただし、来年以降、他学へは正々堂々と勝負して一定の成績を収めれば入学できるなどの敗者復活の道はちゃんと残してやるべきとは思います(生涯、日本のアカデミックへの門戸を閉ざすのはやり過ぎ)。

おっしゃる通り、正直が一番です。身の丈を背伸びせずにきちんと自己評価することも時には(つらいですが)大切と思います。そこから足りないモノが見えてくるわけですからね。そこを伸ばせば良いわけです。

日本の有名校卒業生は、確かに入学時は受験優等生で与えられた課題を上手に短時間でこなす事にはたけているのでしょうけど、そこの卒業生が社会が期待しているだけのパフォーマンスを社会で発揮するかというと、僕は大変に疑問と思っています。日本の大学教育は、全然機能していませんから、ぼちぼちこの辺を改めないと、世界とは戦えないのではないでしょうか?企業も大学も変わらないといけません。

日本人のモラルの低下は、確かにおっしゃる通りですね。共同体としての社会が壊れてきた事の現れとも云えそうですし、政治も含めてありとあらゆる事への人々の「無関心」も関係している気がしてなりません。
  1. 2011/03/03(木) 18:04:04 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

こんばんは

日本では、FUJIFILMのFinePix X100が発売になり、
ボチボチと作例もアップされてきています。
作例を見ているると、いけない病が出てきそうです。。。^^;

でも今は、フィルムLeicaが一番欲しいです^^
Leica M3いいですね。
Summarit 50mm f1.5とは、なかなか渋いレンズをお使いですね^^
M3は、完全マニュアルだから、ちょっと使いにくそうなので、
M6とレンズはズミクロン50mmあたりを狙っています。
いつになるか分かりませんが、宝くじが当たるのを祈るばかりです^^;
  1. 2011/03/04(金) 15:41:13 |
  2. URL |
  3. masa + #-
  4. [ 編集]

Re: こんばんは

masa+さん
X100、発売されたんですね。見逃していました。それで、作例をつらつらと見てみましたが、良さそうですね~。Fujiはもともとフィルム会社らしく、レンズの発色とデジカメ時代になってからは絵作りに定評がありますから、ライカX1にはちと強力なライバルが出てきてしまいましたね。ハイブリッド・ファインダーなんて、本当はライカがすべき事であった気がしますが、いかがでしょうか?

ズマリットを使っている理由は、頂いたM3に付いていたので、下さった方のご好意に答えるためにもそのまま使ってるだけなんです。至極「消極的」な理由なので、渋いと云われるとちょっと恥ずかしいです。

実はこのM3を手に入れる前に清水から飛び降りるつもりでバース・デー ライカ(自分の生まれた年に製造されたライカ)としてM4をSummicron 50mm f2(第2世代)付きで買って持っていました。Summicronは極めて優等生で普通に良く写るレンズで(もちろんSummicronにも世代間で個性があると思うので、これも一般化して云うつもりはありませんが)、Summaritと比べると結果は間違いないのですが、見方を変えると面白みに欠けるかもしれません。こう云うとおしかりを受けそうですが、Zeissのレンズと比べておお~っと云う感動が薄い気がします。その点、Zeissのレンズで撮った写真は、見たときにドキッとさせられる事が多いです。

M6は露出計が入っているので便利そうですが、マニュアル操作はM3とほぼ一緒(フィルムの装填の仕方はM3は一番面倒くさいですが、M4以降は一緒です)ですから、いろんな個体を中古屋でいじってみて気に入ったのを買われるのがよろしいのでは。それから内蔵露出計はいつかは壊れますし、それにM6の露出計も現在のモノからすると古い設計ですから、最初から露出計無しのモノを選ぶのも実は精神衛生上には良いかもしれませんよ。僕はフォクトレンダー製の露出計VCメーターをホットシューにつけて使っています。masa+さんはRolleicordを使いこなされていて露出の基本的な知識があるので、M6じゃなくても全然大丈夫と思います。どのボディが良いかは、内田ユキオ氏著の「M型ライカの買い方・使い方」が参考書として良いと思います。
http://www.amazon.co.jp/M%E5%9E%8B%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%81%AE%E8%B2%B7%E3%81%84%E6%96%B9%E3%83%BB%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9-%E5%86%85%E7%94%B0-%E3%83%A6%E3%82%AD%E3%82%AA/dp/4816327231

ライカに関しては「都市伝説」まがいの情報があふれ返っていますけど、実際につかってみると、(特にレンズに関しては)値段相応の結果が得られるかというと個人的にはちと疑問に思います。Summilux 35mmとか8枚玉Summicron 35mmなんて、高すぎ!個人的な好みからすると、カラー写真を撮るならばZeissの方が好みです。モノクロはLeicaレンズの方が良い味出してくれます。Leicaのボディーに(Cosinaが作っている)Zeissのレンズが着けられるので、今は最高に贅沢な時代かも知れません。ライカのボディに関しては、やはり歴史的な意味合いも混めて、確かに手に取ったときの高揚感は何とも言えないものがありますし、ミラーショックの無いシャッターのフィーリングは心地よいと思いますが、何せシャッターもM7ですらゴム引きの布幕ですから、他社のチタン性の縦走りチタン性シャッターなんかと比べてしまうと、やっぱり精度は劣るでしょうね(まあ、ネガフィルムで写真を撮るなら、そこまでの精度なんか要らないのですけどね)。

フィルム用のマニュアル・ライカのボディは、以前から比べるとびっくりするほど安くなりました。それでもレンズ込みだと15万以下はなかなか探すのが大変でしょうからまだまだ高い買い物ですよね。信用のおけるお店で保証の付いているヤツを買って、しかも購入後も気さくにボディやレンズの調子に付いて相談に乗ってくれるお店から買うのが失敗しないコツと思います。そういうお店が見つかると良いですね。
  1. 2011/03/04(金) 16:46:33 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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