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英国医学研究留学記

Victor Almon McKusick博士追悼記事に接して思う事

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たまには少しばかりアカデミックな話題を。
Victor Almon McKusick博士がこの7月22日に亡くなられたと、最新号のNatureに追悼記事が出ていました。
疑う余地無く、ヒトの遺伝病研究における巨星です。
追悼記事を読んで、僕が知らなかった事も多く、ものすごくえらい先生だったのだとあらためて認識しました。
とても僕なんかが及ぶ所ではありません。
ご冥福をお祈りしたいと思います。

ここで記事として取り上げたのは、別にご本人と面識があった訳でもなく、特別にMcKusick博士に個人的な思い入れがある訳でもないのですが、お名前から研修医のときに小児科病棟で出会った McKusick型骨幹端軟骨異形成症(metaphyseal dysplasia)であるcartilage-hair hypoplasiaという大変に稀な難病の患者様(勿論、小児科ですので子供です)の事を思い出し、ちょっと切ない気持ちになったからです。
小さいお子さんだったのでもちろん本人に病識は無かったのですが、しんどかった研修医時代にいつも明るく無邪気なその子を見て、何度も頑張らないとなという気持ちになった事を思い出しました。

この病気は、McKusick博士が1965年に最初に記載をした病気です。僕が研修医当時は原因不明でしたが、分子生物学とゲノム科学の進歩により、現在ではRMRPRという遺伝子の変異で説明がつくと言う所まで研究が進んでいますが、遺伝病全般に言える事ですが、まだまだ根治療法が見いだせる様な段階ではありません。

医師としての仕事をスタートしたばかりで、免許をとりたてのほやほやで経験の乏しい本人は「先生」と呼ばれる事に大きな違和感を感じていたあの頃、実は先輩の医師やベテラン看護師さん達からだけでなく、多くの患者である子供たちやそのご両親からも多くの事を学ばせていただき、また逆にこちらの方がエネルギーを貰っていたのだと言う事をあらためて思い出しました。
本当は医師として活躍する事が、ご恩返しなのかもしれません。
僕自身は、もう最前線の臨床医としてのステップアップを完全に止めてしまったので、そう考えると少しばかり申し訳ない気持ちもします。
研究面で成果を挙げ、基礎医学・基礎生物学の世界で生きて行く事が正しかったのだと思ってもらえる様に頑張るしかありません。
あらためてこの場で当時に出会った方々(僕と縁あって関わりのあった子供たちも無事に大きくなっていれば、すでに成人している方も多いです)に感謝申し上げたいと思います。
ありがとうございました。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/09/08(月) 00:00:40|
  2. 医学
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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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