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英国医学研究留学記

研究費予算も削減?

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今日は朝から好い天気でした。久々に清々しい一日。
明日は天気が崩れる模様です。

日本では民主党政権による「仕分け」のニュースが連日話題になっている様です。
その中で気になるのは、科学技術政策関連の経費削減に関してです。
政官の無駄を聖域無く出来るだけ切り詰め、役に立っているとは思えない天下り先の独法人を切ると言う総論には賛成なのですが、「基礎科学の研究費」に関する予算の削減には、個人的には反対なのです。
科学技術は、即ち国家の力と同じです。
でも、研究費を投入した効果は、短期的には現れません。
短くて最低5年、何かしらの成果として表に出てくるのは10年20年とかかる場合も有るのです。
そこを切ってしまうと、レベルが目に見えて落ちて来てから再び予算を投入しても、すなわち元のレベルにまで回復するのに、同じ様に相当時間がかかると言う事なのです。
実際に、英国でこの未曾有の不況で研究費予算が大幅に削減されているかと言うと、政府ベースの予算配分はそれほど大きくは変わっていません。
米国も英国も、基礎科学研究は国力を維持するための最重要案件なので、よほどの事がない限り切ってしまう事は無いと思われます。
むしろ、Medical Research Council(英国では税金に拠る研究費の配分を、8つのCouncil、すなわち研究会議が担っています。医学研究の研究費配分は、Medical Research Council、通称 MRCが行います。生物学関係は、もう一つ、BBSRCバイオテクノロジー生物科学研究会議というCouncilもあります)の研究予算枠は、2008年度と比べて2009年は増えていると聞きました。
柳田先生のブログで何回か取り上げられている通り、最近の科学技術振興機構の行っている非常に偏った分野への政府主導に拠る巨額研究費の投入には腹が立ちますが、広い裾野に向けて配分するはずの研究費まで削ろうと言うことになると、日本の将来はあまり明るい物には見えません。
「科学技術」が売りの国の、根幹が揺らぐことになるだろうからです。
仕分けは最終決定ではない様ですし、科研費まで削減の手を広げるつもりなのかどうかは判りませんが、正直、民主党に少しがっかりした感は否めません。
首相も菅さんも、理系のはずなのですがね~。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2009/11/17(火) 23:03:34|
  2. 日英の相違
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<英国の時間軸 | ホーム | 謝罪>>

コメント

相変わらずというか、日本は長期的展望が不足してる気がしますねえ。

仕分け作業もこれまでの密室からオープンにしたのは良いのですが、
蓮舫議員のヒステリックなやり取りなどは、なんだかなあ〜といった感じです。

でもまあ、民主党政権になっていろいろなハレーションが出れば、
どう改善すればいいかも今まで以上に考えるようになりますよね。
  1. 2009/11/18(水) 00:25:12 |
  2. URL |
  3. kk #mQop/nM.
  4. [ 編集]

kkさん
おっしゃる通りです。
国の存亡の危機とも言うべき状況が迫って来ているときに、先を見据えたビジョンを持ち、それを国民に語りかけてしっかりと舵取りの出来る政治家がいないのが残念ですね。
国民の理解を得た物に税金を使うのは当然で、不必要な物をカットするのも当然なのですが、こと基礎科学研究となると、日本ではなかなか未だに「道楽」と捉えられてしまう節もあって、日本では国民の理解を得るのは難しい様に思います。基礎科学力=国家の力との認識の国民が、いかほどいますでしょうか。
これはもちろん、政治も研究者も、国民と向き合ってこなかったツケなのでしょう。前にも言いましたが、こちらでは研究予算の申請書には、一般市民向けに「この研究をなぜやらないといけないのか」の説明を記載する欄があり、かなり重要視されます。今までそういった事や国民に向かって自分たちの成果を継続的に啓蒙する活動を学者達は積極的にしてこなかったので、日本では国民が科学研究に関心を寄せたりする事もあまり無いですしょうし(多分、日本人がノーベル賞を取ったモノにだけ、一過性に関心を示すでしょう)、市民の目で研究の意義を理解しようと努力をするとか、研究の社会的意義を評価をする「目」があるかと言うと、それも無いでしょう。おそらく政治家や官僚と同じで、短期的な視点しか持っていないでしょう。そういった事を含めて、日本にサイエンスが真の意味で根付いているかと言うと、全く根付いているとは言えなくて、「学問」と言うのは未だに欧米のモノなのだとまざまざと思い知らされたような気分になります。
  1. 2009/11/18(水) 21:14:28 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #HfMzn2gY
  4. [ 編集]

こんばんわ~

雪は無いですけど...冬っぽい写真ですね~
緑に赤い実を見るといよいよクリスマスな感じがします~v-255
  1. 2009/11/20(金) 16:06:44 |
  2. URL |
  3. yo #vYXebdWU
  4. [ 編集]

yoさん
柊の赤い実は、やはりクリスマスシーズンに合いますよね。
スーパーでもクリスマス商戦一色です。
  1. 2009/11/21(土) 00:55:48 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #HfMzn2gY
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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