GRD2 ISO80 f5.6 1/400s
今日もよい天気でした。こう晴天が続くと、却って気持ちが悪いです。
日本の朝日新聞のサイトで、英国の巨大製薬メーカー、GlaxoSmithKline社製の子宮頸癌予防ワクチン「Cervarix」が日本で認可を受け、年内にも販売が開始されるとの報道が。一方では、何とタイミングの悪いことに、英国では、このワクチンに拠る(多分、初の)重大な副作用に拠ると思われる死亡症例の報道がありました。
このワクチンは、イボを引き起こすウイルスの仲間、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)16, 18型に対する不活化ワクチンです。僕が学生の頃からイボを引き起こすウイルスと子宮頸癌(子宮癌は頸癌と体癌に分けられ、各々は全く別物です)の密接な関係が指摘されていましたが、いまではほとんどの子宮頸癌がHPV 16もしくは18型によって引き起こされる事が証明されているので、このウイルスに対する免疫が成立してウイルスを自力で排除できれば、この癌のほとんどが防げると言う訳です。
英国では、昨年の秋から、12~13才の女子を中心に予防接種を学校にて行う集団接種が開始されていました。報道に拠ると、昨日の月曜日に学校で接種を受けた14歳の女の子が、接種直後に具合が悪くなり、病院に救急搬送されましたがそのまま亡くなった様です。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/8279855.stmいままで140万人以上が接種を受け、副作用の報告は4600件あまりだそうですが、重篤な副作用の報告は無く、データ上は重大な副作用の発生頻度は100万分の1以下だそうです。こういう事故は予防接種を受ける以上、起こる可能性は絶対にゼロにはなりませんが(100%安全な医療行為など、ワクチンと言えどもどこにも無いのです。行政は予防接種による副作用で傷害を被った人に対して支払う対価と、ワクチンを集団接種しなかったときに病気になる人がどれくらい出現して、それに対して行政が支払うべき対価はいかほどかを試算し天秤にかけて、どちらが得かで集団接種の是非を決める訳です)、気になるのは、同じ所で接種を受けた数人がめまいや吐き気を訴えたとの事で、NHSは亡くなった子の死因の究明と、同じロット番号のワクチンの市場からの回収、および、ワクチンの集団接種を安全が確認できるまでの間一時停止すると発表しています。
ワクチンには生ワクチン(ポリオや麻疹など)と不活化ワクチンと有って、副作用の出方が異なります。不活化ワクチンで主に問題になるのはアレルギー反応(抗原に暴露されることで生じるので、出現が早い)で、今回のケースは接種後すぐにトラブルを生じていますから、典型的な不活化ワクチンの副作用の出方に見えます。いずれにせよ、早い段階でワクチンの当該のロットのみの問題なのか、それとも亡くなられた子の体質などに拠る予測不可能な特殊な反応が起こったのか、はっきりさせてもらいたいですね(うちの子がこのワクチンを受ける年齢になるには、未だ数年かかりますが)。
ところで.......、石田純一にはただただ驚くばかりです....
テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2009/09/29(火) 19:03:45|
- 英国
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まさにBBQ日和な感じの日差しですね。^^)
亡くなった女の子の親御さん気持ちを考えると、いたたまれないです。
何故、うちの子だけが・・・という思いでしょうね。
話は変わりますが、理子さんにも驚きます(笑)
東尾父さんの心中は複雑でしょうね。
- 2009/09/30(水) 03:28:00 |
- URL |
- satothing #7UVZ4oV6
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知り合いに子宮頸癌だった女性がいます。
彼女の話を聞いてこのガンについて初めていくつかのことを知りましたが
「予防できる唯一のガン」という話にビックリしました。
多数の国で認可されてるいるのになぜ日本では遅れているのか、
認可されても数万円の費用負担をどうするかは未定との報道に
またビックリでしたが、今日のDr Kenさんのエントリーにはさらにビックリです。
先日の人間ドックの結果が返ってきました。慢性胃炎の所見と、
ピロリ菌陽性となりました。潰瘍ではないので全額自己負担ですが
まあイイきっかけとして除菌しておこうかと思います。
健康もお金次第というのも厳しい現実なんですね。
- 2009/09/30(水) 06:42:33 |
- URL |
- kk #mQop/nM.
- [ 編集]
satothingさん
本当ですね。どうして我が子がと、誰しもが思うでしょうね。
一方では、ワクチン行政は上記のごとく、完全に「経済」に基づいた計算に拠って決まっているので、個々の「被害者」を前にしてしまうととても非情な決定にも思えて来てしまいます。
ただ、受け取り方は様々ですが、医学的見地からすると、140万人以上の接種で死亡例が1例と言う事ならば、想定の範囲内なのじゃないかとも言えます。いずれにせよ、どんな不活化ワクチンでも起こりえる事故と言えると思いますが、当該のロットのワクチンに問題が無かったのかどうか、製造工程に問題が無かったのかどうかの検証だけは、きちんとして欲しいですね。
kkさん
こういった不活化ワクチンには、かならず免疫賦活剤(アジュバント)が入っていて、日本製のワクチンには用いられていない物質を用いられている場合は、厚労省が日本人に害がないかどうか慎重になる事も、認可まで時間がかかる一因の様です。新型インフルエンザのGSK製ワクチンなどには日本では使われていないアジュバントが入っており、GSKなどはワクチンによって日本で万が一事故がおこった場合の免責を要求している様ですね。ニクソン政権下の米国で、当時のインフルエンザA型に対するワクチン集団接種を拙速に行ったおかげでギラン・バレー症候群を多発させたと言う過去の苦い経験もありますから、行政が日本で未だ実績の無いワクチン導入に対して慎重になるのも、ある意味健全な事のようには思います。ただし、1970年代と違って製造工程が全く違い神経系の副作用は通常の季節性に関する限り段違いに少なくなっていますから、同じ事が繰り返されるとは思いませんが。
子宮頸癌だけじゃなくて、ピロリ菌除菌によって胃癌の疫学的データにどのような変化が出るのかも興味深いですね。日本人に多い特徴的な癌の代表格が胃癌でしたが、これももしかするとかなりが予防できる癌になってしまうのかもしれません。それにしても、外科疾患がドンドンと内科的疾患へと変貌を遂げて内科に「食われて行って」しまっています。
masa+さん
2回も結婚に失敗しているのに、まだ結婚生活に夢を見ることが出来るのでしょうね(笑)。複数回失敗していると言う事実は、だれに結婚生活が長く続かなかった原因が有るんかを「雄弁に物語っている」と思うんですが。まあ、東尾理子さんももう良い歳の大人ですから、周囲がどういおうと、結局は本人達次第ですがね。何となく、数年後の結末は透けて見えている気が.....。
写真は、おほめいただいて恐縮です。GRD2は、ちょっと赤い鮮やかな色のものの描写は苦手みたいです(ややディーテールがつぶれ気味ですよね)。
- 2009/09/30(水) 20:32:54 |
- URL |
- Dr Ken #HfMzn2gY
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