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英国医学研究留学記

Flu Jab

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新聞に拠れば、昨日の雪は100年に一度あるかないかの出来事であったようです。
僕の通勤にはあまり影響ありませんでしたが、交通システムはかなり混乱した模様です。

先週の木曜日に、家族全員のインフルエンザ・ワクチンをGeneral Practioner(GP; かかりつけ医)に注射してもらいました。
Flu=インフルエンザ、Jab=ワクチン、のことです。

我が家では、毎年、皆で受けています。
日本にいたときは、僕自身は昨今の小児科医不足もあって、市民病院の二次救急外来を応援でしていましたから(止めさしてもらえなかった)、流行時の自己防衛のために。
妻と子供たちは、予防出来れば少しでも流行時のウイルスの媒介源を減らすことが出来るので社会的な意味があるのと、6歳未満の小児の場合はインフルエンザ脳炎・脳症の好発年齢でこれが怖いと思うからです。
ワクチン接種がインフルエンザとそれに因る脳炎・脳症罹患に対する絶対的な防御手段ではないのですが(つまり接種していても発症することがある)、あくまで個人的な印象ですが、ワクチン接種をしておいた方が、脳炎・脳症の頻度や重症度が仮に発症した場合でも低いのではないかなと思っているからです(信じていると云ったほうが近いかも)。
ただし、ワクチンによる脳炎・脳症への予防に対する科学的に明白な証拠はまだないはずなので、これは学術的な意見と捉えられると困りますので、あらかじめ小児科としての公式な見識ではなくて、僕個人の主観・信条であるとお断りしておきます。

昨年は、主治医になってくれているGPの先生に、別件で受診の際に接種を口頭でお願いしたら、その場で直ぐに射ってくれました。
今年は、主治医の先生の外来を予約する用事がさしてないので、ワクチン接種の予約をしにGPの受付で受けたい旨を伝えた所、一般的には持病があるか高齢者でないと....と受付のおねえちゃんに少し難色を示されましたが、結局受け付けてもらいました。
あまりこの国では健康な小児に積極的に接種を医療機関側からは推奨していないのかもしれませんが、受付がどうして受ける必要があるの?必要ないんじゃない?と云っただけでGP本人に確認した訳ではないので、この国では実際に医師はどのように考えているのか解りません。
機会があったら、同じラボの英国人医師(循環器内科)に聞いてみますが、現にGPの玄関に置いてあるNHS(National Health Service)のインフルエンザ・ワクチンのパンフレットには、喘息などの持病を持つ小児と、65歳以上の高齢者への接種を推奨していて、米国小児科学会(AAP)のガイドラインとは少しずれを感じます。
AAPのガイドラインでは、端的に言ってしまうと(情報が正確じゃないとおしかりを受けそうですが)、6ヶ月児~18歳までのすべての小児、5歳未満の小児がいる家族、妊婦、そして医療従事者への予防接種が推奨されています。

それから、日本では何かと騒がれているタミフルですが、GPではよっぽどでない限り発症していても処方箋は切ってもらえないようです。
そもそもこちらの医師は、あまり薬を多く出さず、基本的には自然治癒に任せる方向で考えるのが通常のようです。
ですから、日本の様に気軽に点滴などもしないと聞きました。
日本がタミフル消費量がダントツで多いと言うのは、なるほどなと云う感じです。
もっとも、どんな病気も医師が治すのではなくて、本人の力で治癒して行くのを病気に負けない様に手助けする事しか我々には出来ないので、そう考えると一緒なんですけどね。

それから、後日機会があれば医療システムについても少し紹介しようと思っていますが、GPを介した医療は、基本的には薬局で購入する薬代を除き、すべて無料です。
こう聞くとすごく良さそうに聞こえますが、ところがどっこい、問題山積で、僕は医療サービスに関しては日本に住んでいる人の方がずっと遥かにハッピーだと思います(その理由も、いつか記事にしたいと思います)。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/10/30(木) 08:00:00|
  2. 医学
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

魔除けいらず?

今日31日はHalloween。profileの写真がカボチャに変わっていますねv-354
まだ収穫祭の最中なのに、もう雪ですか!? さぞみなさん驚かれたでしょうね。怖そうなかぼちゃさんが口元をへの字にして外でブルブルしている姿を想像してしまいますv-276 でも、たまにはそんなかぼちゃさんもKawaiiかもしれませんねv-411 もしかして、今年は魔除けいらずかも?ブルッe-487

そう言えば、先日英国在住のマークス寿子さんの本(2007年出版)を読み、少しではありますが英国の医療事情を知りました(ご自身の体験も含んでいました)。 お医者さんがすべて公務員になり、治療がすべて無料になったのが60年前からだそうですが、海外から来た旅行者も学生も無料だとか。特に驚いたのが旅行者の出産も一切無料とのこと。そして、出生地主義の英国では、その子供が13歳になるまでは親がついていないといけないということで、職がなければ失業保険がもらえ、住む家がなければ無料で貸し与えられる・・・ということで英国に世界中から貧しい人たちが押し寄せてきたとか。なるほど、移民が増えるわけですね。そのお陰で、英国では慢性病や、アフリカの熱帯での流行病には、世界でも一番経験があるから治療のノウハウがある、ということも書かれていました(先日のワクチンのお話はこのへんと関係がありそうですね)。さすがに以前は無料だった入れ歯やメガネ(無料は一種類のみ)有料になったとも書いてありました。それにしても「大風呂敷」英国の懐事情は大丈夫なのでしょうか?(さすがに国の人件費(公務員数)は抑えているようですが)

これで10数年来疑問に感じていた英国在住の知人宅のお家事情が解明されました。ゴホンッv-400

それではご家族と素敵なホリデーをお過ごしください^^v-273
  1. 2008/10/31(金) 02:37:31 |
  2. URL |
  3. cafe owner #yw4sqTbg
  4. [ 編集]

cafe ownerさん、こんばんは

今週はすごく冷え込んでいてとても寒いです。

NHSによる医療サービスですが、現在は一年以上滞在する方のみ無料で、観光客は無料サービスの対象外になっています。眼鏡は子供はタダなんですよね。NHSの運用資金は9割以上が国庫からの拠出になっていますので、日本の医療システム同様、運用資金確保には常に問題がつきまとっているそうです。

本をお読みになられて、どのようにお感じになられたでしょうか?。実際にこの国に暮らしてみて、「病気になったら大変だ。もし病気になったら帰国した方が良いかも?。」と言うのが正直な感想です。それは医療レベルがどうのこうのとかコミュニケーションに使う言葉が英語であると云う様な問題ではなくて、病院受診をしてサービスを受けるためのシステムの問題です。追々、記事にしていこうと思いますが、このシステムの弊害で、助けられたはずなのに助からなかった命も多いのではないかと感じています。

英国の懐事情は、昨今の金融信用の危機で大丈夫じゃなくなって来ている気がします。失業率もかなり上昇して来ているので、さらに移民に対する規制が強化される事が決まりました。移民だけでなく、留学生にも英語の試験を課してパスしたもののみ学生ビザが発行される事につい最近決まったばかりです。幸い制度変更後も、僕の様な科学者とかは特殊技能者と言う事で、ビザ発行に対する敷居は他の人たちよりも優遇されるそうです。
  1. 2008/10/31(金) 17:39:20 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #HfMzn2gY
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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