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今日は、英国の公立中学の中で、生徒全員が入試で選抜されているgrammer schoolもしくは一部が選抜であるcomprehensive schoolの試験について、ご紹介します。
まずは手続きですが、10月31日に締め切りのCommon Application Form(CAF)に志望校を書くのはもちろんなのですが、それ以外に各志望校の試験を受けるための手続きが要ります。一般的な手続きについて書きますが、各校により多少の違いが有るので、各secondary schoolのopen day(入学志望の生徒と父兄に学校の案内をするために各学校が学校を解放する日)に参加することをお勧めします。必ず入試の手続きについての説明が有ります。また、そこで校長先生や先生方から学校の教育理念やカリキュラムに付いて直接聞けるだけではなく、構内の施設や、大抵は構内を案内してくれるのは在校生のボランティアですので、生徒に学校について率直に意見を聞く良い機会になります。
入試を受けるための各学校独自のapplication formが用意されていますので(大抵の場合は、学校のweb siteからダウンロード出来ます)、それに必要事項を記入し、締め切り前までに各校のSchool Officeへ出願しておく必要が有ります。これも出さず(もちろん試験も受けられない)にいくらCAFに志望校として記入しても、無視されるだけです。
試験は、毎年3月当たりからぼつぼつと学校のweb siteで何時行われるか、何時から願書を募集して何時閉め切るか、漸次情報が発信されますので、open dayに参加するだけではなく、志望校のweb siteの「Admissions(大抵は更にYear 7や6th Formと云った具合に更に項目が分かれます。Secondary Schoolへの入学の場合は、もちろんYear 7の項目が該当項目です)」をこまめにチェックした方が無難です。どこの学校も(学校に因りますが)知能テストと英語と算数の学力テスト(Apptitude Test)の枠は必ず有って、それ以外に学校に拠って音楽枠(学力を問わず、ピアノやバイオリンと云った音楽の能力のテストで入学の是非を決められる)、「ダンス」等と云う枠も用意してある場合が有ります。CAFではない各学校へ提出する試験を受けるための願書には、どの枠で受験したいのかを記入する欄が有りますので、そこへの記載も必要です。複数の枠で受験する場合は、複数提出しないと行けないケースが多いと思います(僕の経験した場合は、同じ学校の複数の枠を一枚の願書で済んだケースはありませんでした)。
試験の時期は、早いところでYear 5の最後にあたる6月ごろから、Year 6になりたての9月から11月くらいまでで公立の入試は全て終わります(私学は、この後冬場にかけて行われます)。(6年生の最後の時期で行われる)日本の入試と比べると、タイミング的にずいぶんと早いですので、英国人でも教育熱の高いご家庭は、Year 4に入った段階で受験を意識した勉強を本格的に始めるご家庭が多いように思います(Year 4に始めて、準備期間が2年ほどでしょうか)。それでも、日本でのいわゆる中学お受験と比べると、まだ穏やかな気はします。
試験の科目も学校によりけり。英語の試験だけのところ、知能テストが一次試験で、それで搾られた者だけが英語と算数の二次試験を受けられる形式のもの、一回だけの試験で、英語と算数だけ、もしくはそれらに知能テストが加わったもの、等様々です。学校ごとに試験の特色(筆記重視のところや、マークシート式のところ等)が有りますので、それに合わせた対策も必要です。一般論ですが、試験や交渉ごとでは、「情報を持っている者」が勝てる確率が高いです。ですから、入試の経験の豊富な専門の家庭教師(英国は塾はあまり一般的では有りません)に教えてもらい対策を練ってもらうのは、日本が母国で自分自身が英国で教育を受けて来なかったご両親のお子さんを英国で進学させる場合は、かなり役に立つと思います。たとえば、北ロンドンでは人気のあるgrammer schoolのLatymer Schoolや一部選抜のcomprehensive schoolであるDame Alice Owen Schoolなどでは、essay writingの比重が大きいと聞きます。細かい文法は気にしなくても良いそうですが、筋の通った話が展開できて、ストーリーに独創性が有る(視点が斬新等)お話を、与えられたお題にそって、約30分くらいの制限時間でA4の紙2枚程度にびっしりと文章を書き切る能力が必要となりますので、事前に訓練が必要であることは容易に想像出来居ると思います。。これは英語を母国語にしているお子さんにとっても、だいぶハードルの高い課題です。一方で、英国の全公立secondary schoolでほぼ毎年学力ナンバー・ワンの座をキープし続けている北ロンドンのQueen Elizabeth Boys Schoolというgrammer schoolの入試は、英語と算数のみで、しかもマークシート。従って、記述の訓練は極端なことを言うと必要有りませんが、如何にミスをせずに課題をこなせるかの訓練が重要に思えます。
前述の知能テストに付いて少し。これはNon-verbal reasoningとVerbal reasoningの2種類に分かれます。Non-verbal reasoningは記号を使ったパターン認識能力で、数学的思考と直結するそうです。Verbal reasoningは言語を用いた認識能力のテストです。grammer schoolに拠っては、このテストをとても重要視しています。というのも、このスコアの高い生徒が、将来学業に於いて高いパフォーマンスを発揮する可能性が高いと、はっきりと研究に拠って示されているのだそうです。この知能テスト、やはり練習しないと点が伸びませんが、逆に英語と違って比較的短い期間でやればやるほど点が伸びますので、これが課される学校の入試を考えている方は、早めに手を付けた方が無難と云う印象です。
次回は、具体的にどのような勉強をしないと行けないのか、少しご紹介したいと思います。
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テーマ:中学受験 - ジャンル:学校・教育
- 2014/07/05(土) 13:43:40|
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