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英国医学研究留学記

英国のSecondary Schoolへの入学手順(一般)

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今回は、secondary schoolへ進学するにあたって、(入試の有無はひとまず置いておいて)どのようなスケジュールやプロセスで入学が決まるか、書こうと思います。

まずは、ロンドンの場合は、32の行政区(カウンシル)に分かれた地方行政が行われていて、公立校の入学の決定は最終的には各カウンシルが行います。つまり、自身が居住するカウンシルの管轄内にあるsecondary schoolへと進学することになる訳ですが、各カウンシルの境界に当たる地域は越境が認められています。公立校への進学には、自分が住んでいる地域を統括するカウンシルに願書を提出します。ただし、同じカウンシル内の全ての学校に願書を出せるかと云うとそうではなく、キャッチメント・エリアと呼ばれる各学校が指定する地域に在住していれば、その学校への入学希望として出願出来ます(キャッチメント・エリア外だと、おそらく出願しても無効投票と同じで無視されると思います)。

前回の記事に書きましたが、願書を出した学校の中で住んでいるところに近いところの学校から入学のオファーをもらえる、と云うのが公立校の基本の様に思います。願書は、学校ではなくて自分が住む地域を管轄するカウンシルに提出します(越境したい場合も、自分が居住している場所を管轄するカウンシルに願書を提出します)。願書はCAF(Common Application From)と云われ、カウンシルのweb siteに自身のアカウントを設定してから出願します(PCがダメなヒト用に紙の媒体での出願手続きも残してあって可能なようですが、今ではもはや一般的ではないようです)。締め切りは毎年10月31日で、Year 6になったばかりの子供たち(英国は9月から新学年)が第1希望から第6希望まで、最大6つの学校に対して出願することになります。

カウンシルは、提出された希望順位の上位の学校から順番に各児童の入学の是非を当該の学校と議論し、入学を認めるか決めて行きます。ですので、公立校の入学の最終決定は、学校ではなく「カウンシル」で有ると云うことです。この入学を決めるための調整は延々3月まで続き、毎年3月3日がNational Offer Dayと云われて、各家庭の児童が最終的にどのscondary schoolへと入学出来るか通知されることになります。それから、National Offer Dayにカウンシルから連絡があった際に、カウンシルに対して「割り当てられた学校へ入学する意思が有るか?」「上位志望校のwaiting list(下記参照)に載せて欲しいか、それとももう入学の決まった学校から動く意志がないかどうか」を聞かれます。

その後は、9月に新学年が始まるまで、延々と最終的な入学先の調整が続きます。何故なら、入学を辞退して私学等へ入学する者が出て、定員に空きが出るためです。入学願書の6番まで付けた希望順位の一番上の学校に入れなかった場合、waiting listへの登録を拒否しさえしなければ(上述)、自動的に希望上位校の「waiting list」に登録されます。waiting listも、出願された各生徒の希望順位が考慮された上で作成されていて、空きが出た場合はこのlistの上位の者から、空きができたので入学出来ますがどうしますかと、学校から連絡が来ることになります。したがって、National Offer Dayに通知された学校とは最終的には違う学校に通い始めるご子息も結構周囲を見ているといます。中には、もう割り当てられた学校へ通い始めたのに、Year 7(secondary schoolの一年生)の1学期も半ば終わった頃に上位希望の学校から「空きがあるけどどうします?」という連絡が来る例もあります。驚くべきことに、6番目まで希望校を書いたのにも関わらず、「入学を受け入れてくれる該当する学校無し」という返事がNational Offer Dayに来る可能性がゼロではないことです。このケースは悲惨ですね。primary schoolも含めて各学校には厳然とした「定員」があるので、日本のようにある地域に住んでいる子供は無条件で公立小学校や中学校に入学出来るのが当たり前だと思っている我々日本人には、ちょっと驚くべき事態です。子供が希望した学校に入れなかった場合(どこからもオファーが無かった場合も含む)は、各学校/カウンシルに対して「自分の子供がなぜこの学校でないと行けないのか?」をアピールすることが出来ますが、通常こういったアピールが通って決定が覆ることはまれだそうです。誰が聞いても、「その学校でないと子供が困る」と云うことが納得出来るケースでないとダメなようです。どこからもオファーが無かった場合は、カウンシルやprimary schoolの先生と相談しながら受け入れ先を必死で探す努力をしないと行けなくなります。

次回は、全生徒を選抜するgrammer schoolや一部の生徒を選抜のcomprehensive schoolなどの選抜試験が有る学校を受けるケースの入学プロセスに付いて、経験を基にご紹介しようと思います。

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テーマ:中学受験 - ジャンル:学校・教育

  1. 2014/07/03(木) 17:57:25|
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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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