英国に研究拠点を移してからのほぼ6年間、あまり外に自分の研究データをさらけ出したくなかった事(競争と云う観点からです)と、自身の足場を固めるために仕事を優先しようとして来たために、まったく国際学会には参加して来なかったのですが、以前に何度か会ったことがある大御所さん達も未だ僕のことを覚えてくれていましたし、いろんな方々と交流して共同研究の話をまとめたりとかも出来ました。思いもかけず、(iPS細胞の)山中さんと一緒にノーベル賞を受賞されたSir John Gurdon先生とも直接お会いする機会にも恵まれました。なかなか実り多い学会参加に成ったのではと思います。
今回は、リゾートなので参加者が多いと思いきや、日本やオセアニア、欧州から距離的に遠いと云うこともあって、オーストラリアや欧州、日本からの参加者は、8年前に参加した国際発生よりもずっと少なく感じました。それがちょっと残念でした。また、発生生物学と云う、学問としては大変に面白く意義のある学問が、日本や米国を中心とした「今すぐ知識を何に使えるのか」というほんの目先の事だけにしか研究費がファンドされなくなって来ている傾向が拍車をかけているのか、発生生物学全体が廃れつつ有る学問であるかのようになってきつつ有る事を危惧する話をあちこちで耳にしました。今の幹細胞生物学は発生生物学無くしてはあり得なかった事を思うと、幹細胞生物学と発生生物学は切っても切り離せないのですが、科学行政はどこもそのようには考えていないようなのが少し残念に感じます。英国は少しましとはいえ、同じような傾向が強くなって来ていますが、今回の学会で強く感じたのは、初期胚に関するJanet Rossantさんの今まで果たして来た功績や、Sir John Gurdonさんの体細胞の初期化の話等を見るにつけ、英国人達が基礎科学としての(応用科学ではない)幹細胞生物学と発生生物学を牽引して来た(牽引と云うよりもdominateして来たと云う方が正しいかもしれません)のだな、と云う事でした。英国だけは「学問」を大事にして行ってほしいなと思います。次回の国際発生生物学会は、4年後にシンガポールで行われます。
GRD2 ISO80 f6.3 1/500s St Andrews Golf Club, St Andrews, Scotland, UK 明日の早朝から、メキシコのカンクンで行われる国際発生生物学会に行って来ます。ネットの環境が良ければ、向こうの写真を滞在中にアップしたいと思います。 それでは、行ってきます!
GRD2 ISO80 f5.0 1/400s Edinburgh Castle, Edinburgh, Scotland, UK
2年ほど前に、NHSが現在11個(オックスフォードが手術成績の悪化を理由に手術を停止させられたので、実質10個)あるイングランドの小児心臓外科ユニットを7つに減らそうとする動きを見せていて、その閉鎖の危機にある病院には、ロンドンのRoyal Bromptonも含まれていると云う記事を書きました。 Paediatric Heart Surgery 今日、NHSが、最終的に温存する病院の最終プランを正式に発表しました。結局、Leeds General Infirmary, LeicesterのGlenfield Hospital、そしてロンドンのthe Royal Bromptonを閉鎖したい、と云う事のようです。最終決定は、この10月とか。 Child heart surgery report to be published
Edinburghまでヒースロー空港から1時間足らずのフライトで、そこでレンタカーを借り、Edinburghに一泊。 Edinburgh観光後に、ゴルフの聖地であるSt Sndrewsに向かい、そこで昼食と観光をした後、Invernessへ。Invernessで一泊した後、ネス湖(Loch Ness)の西側の湖畔を南下し、007 Skyfallの撮影にも使われたGlencoeを経て、Loch Lomond and the Trossachs National Parkを通過し、Glasgowへ出て、Edinburgh空港からLondonへ帰って来ました。
Edinburghは8年か9年ぶりでしたが、やっぱり景観は素晴らしかったです。ネス湖は晴れた時に見るよりも、曇ってどんよりしている時の方が雰囲気が有るのかも知れません。一番印象的だったのは、GlencoeからLoch Lomond and the Trossachs National Parkにかけての景色でした。車を運転していたのであまり景色の写真を撮れ無かったのが残念です。007 Skyfallの最後の方で出てくる荒れた山岳地域の景色がちょうどGlencoeのあたりに相当します。
Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。