火曜日は忙しくて、I先生の学位の仕事のセミナーを聴いた後に、UCLにSigmaという薬品会社の主催するセミナーを聴きにいっていました。これはZinc Finger Nucleaseという画期的な酵素(昨年のNature Methodのmethod of the yearに選ばれた技術です)に関するモノです。この酵素は研究者が自在にゲノムの特定の領域を修飾するために、狙った箇所だけピンポイントに切断をすることが出来ます。技術そのものは10年程前から提唱されていたのですが、「狙った場所だけ正確に切断するための酵素のデザイン」が素人にはまず無理で、論文で知っていても「こんなんは、僕たちが気軽に使えなくて、蛋白のデザインのプロ達だけの技術」と思ってあまり関心がありませんでした。ところが、Sigmaと言う会社が「研究者のニーズに合わせた信頼ある酵素をデザインして売りますよ」というビジネスをこの春から始めると聞くに及び、「こりゃ~ちゃんとキャッチアップしておかないと大変だ」、と思うに至りました。セミナーはどういう商品かの説明が主だったのですが、そんなのは発表済みの論文でとっくに知っているので、知りたかったのはサービスの内容とズバリ「価格」でした。想定の範囲内の金額でしたが、まだ若干高いように感じました。そのうち値段はこなれてくるでしょう。すぐにでも使ってみたいアイデアがあるので、価格をにらみながら企画をしたいと思っています。このセミナーの後、ラボへ帰って、ボスとI先生らと供に夕食を食べに出かけました。食べたのはインド料理。S教授、いつもごちそうさまです!
Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。