まずはREFの説明から。英国(イングランド)の大学は全てが国立大学と云って差し支えないと思います。それは、HEFCE(Higher Education Funding Council for England)によって税金ベースの運営費が全ての大学に交付されるからです。ただし、この運営費、国が大学を評価し、その評価の高低で交付額が決まります。つまり、「評価が高いほど、大学は潤う」わけです。従って、運営側は、大学の評価をいかにして揚げるのかに死命を賭けていると云っても過言ではないでしょう。 この評価は数年に一度のペースで行われ、前回は2008年度に行われました。当時は労働党政権下で、RAE(The Research Assessment Exercise)と呼ばれ、我が大学は努力が奏効してこの評価で大躍進を遂げました。 政権が交代したこともあり、RAEという評価スキームは評価方法の変更も含めてREFへと変更され、2014年末までの各大学の達成度が査定され、結果は2015年度の春に発表されます。大学の運営側は、評価の仕組みを解析し、それに乗っ取って「如何に高得点をとるか」のゲームに勝つための方法を模索している訳です。
英国の大学は、ある見方をすると国立大学でありながら、完全に「ビジネスとしての運営」に徹している感が強いです。こういうのは、行き過ぎると「教育を売るビジネス」の様になって、あまり好ましくない事も出てくるかもしれませんが、「大学が自らの価値を如何にして高めるか?」「国際的競争力を維持するにはどうすべきか?」に運営側が知恵を絞り末端にone by oneで発破までかける姿勢は、日本の国立大学には全く欠けている姿勢と思います(日本の大学の運営側はそんなことは無いと云うかも知れませんが、自分の母校(旧帝大)ですら今お世話になっている大学と比べて、歴然とした差が有りますから、日本でのはやっているうちに入らないでしょう)。国内および国際的競争力を高めるためならば、国籍や門閥を問わずに良い人は採用すると云う姿勢、今の日本の大学に有ります?日本の高等教育が高いレベルを維持、もしくは回復するためには、こういった「競争」の姿勢(しかも「国内」および「国際的」なもの、両方で)が一つの解決法かもしれません。
Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。