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英国医学研究留学記

眩暈

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なんだか忙しい。一日の予定を時間で区切って、実験・データ整理・グラント申請書作成・来週の当番に当たっている論文抄読会の準備(まずはちゃんと紹介する論文を読まないと行けないし、プレゼン用のスライドを作らないと行けない)・明日に会う約束になっている某著名研究者とおこなう共同研究の相談用資料の準備・学生実習で僕がチューターをする事になっている学生と個別に面談・新しい大学院生のAちゃんの指導.....などなど、優先順位をつけてこなしているつもりですが、一日の時間は限られているので、全てが「ちょっとづつ」でも前に進んでいるならばOKですが、「どれもが足踏みしている」ような気がして、気持ちばかりが焦ります。
天気は、昨日の朝方は小雨まじりでしたが、以後は晴れてきて、今日も日が射しています。そろそろ青空が見たいという気持ちが通じたのでしょうか。週末に向けて、本当に久々に気温も20度を越えそうです。

まずはノーベル賞の話題から触れねばなりますまい。化学賞で二人の日本人の方が受賞となりました。僕などはノーベル賞なんて本当に縁遠い話なので、これは並みたいていの事ではない、本当に素晴らしい事だと思います。ただし、根岸先生への研究には、「日本は研究費を供与するなどの貢献は全くしてこなかった」という事実を忘れては行けません。根岸先生の略歴を拝見するに、帝人に勤務していたことがあるだけで、アカデミックでの研究は「ず~っと米国」でなされています。以前の南部先生や下村先生と同じです。日本人が素晴らしかったのであって、日本が素晴らしいという事にはならないわけで、根岸先生ご本人が「日本のアカデミアの門戸が閉ざされている」と述べられていることは、マスコミも含めてもっと問題視すべきと思います。多分、米国は、根岸先生のは米国の受賞と思っているでしょう。資源の無い国にとって理系は国家基盤となる背骨と思いますので、若い人がどんどん海外に出て修行する事が肝要と思いますが、残念ながら現状は若い人ほど「内向き」指向なのが気になります。マスコミは手放しではしゃぐだけではなくて、今の日本の科学技術研究の現場の現状・危機的状況を、こういう皆が関心を持つ機会にもっと掘り下げ報道すべきと思います。

ノーベル賞ネタでもう一つ。今年の医学生理学賞に関して、今日発売になったばかりのNature誌は、さっそくRobert Edwards先生に関するニュース(コラム)を掲載しています。
Baby boom bags Nobel prize
UK pioneer of in vitro fertilization wins medicine honour.

記事を読むと、当初は人工授精によって奇形が多発するかもしれないので、手放しでサポートできないと英国の医学研究学術会議(MRC; 英国の税金に拠る医学研究への研究費の配分を担っている)はいっさいEdwards先生へfundingしなかったのだそうです。それがノーベル賞を取ってしまって、MRCの胸中はもしかすると複雑かもしれません。もっとも、生殖に関わる問題は倫理的側面も絡んでデリケートであるので、こういった反論が出る事自体は健全な事かもしれません。ただし、記事に依ると1960~70年代当時は異様な空気が漂っていたそうで、生殖医療を行う彼らに対して皆が口もきいてくれないし、ケンブリッジにおいてノーベル賞受賞者の著名研究者Max PerutzやJames Watsonですら、「生命の開始点に介入するなんて、無責任な行為だ。」と面と向かって言ったそうで、そういう下りは驚くとともに、裏話としてはちょっと興味を引きました。そんな逆風の中でも、信念を持ってやり続けたことが偉いのでしょう。今では発展した人工授精の技術で、遺伝病の保因者でも、責任遺伝子がわかっている場合は遺伝子の異常のない胚を選んで子宮内に戻す事で病気の無い赤ちゃんを持つことが出来るようになっていますが、こうした粘り強い忍耐が背景にあったという事を初めて知りました。

話題はがらっと変わりますが、ハンガリーのアルミ工場からの汚泥流出事件、BBCで映像を見ましたがひどい話です。死者も出ていますし、汚染がドナウ川の下流域に複数の国にまたがって拡大しつつある点も心配です。

明日は多分更新は無理と思います。コメントへのお返事、遅くなります。ご容赦ください。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2010/10/07(木) 14:23:59|
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プロフィール

Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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