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英国医学研究留学記

緊急帰国

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GRD2 ISO80 f5.6 1/500s London, Wembley Stadium
ロンドンはすっかり寒くなり、最高気温もせいぜいが13℃程度。
朝には霜が降りる様になってしまいました。
もはや秋とは云えないかも知れませんが、未だ広葉樹の葉は完全には落ち切ってはいません。

忙しかったり体調を崩したり、いろいろな方にお気遣いいただいて、恐縮です。
慌ただしい一週間が過ぎました。
結局、11月後半に予定している新しい実験系の準備と一緒にその実験を行う方々との打ち合わせ、大学院生へ実験の指導、研究費申請書の作成(まだまだ3割くらいの出来ですが)、11月の医学部の授業の準備、大学などに提出しないと行けない書類の作成、海外の共同研究者の方々とのやり取りで自分の実験はあまり出来ずに終ってしまいました。

実は、明日の日曜日のフライトで、日本へ緊急帰国することになりました。
急に決まった事で、至極プライベートな理由で、大阪に寄る事は無しにずっと東京で過ごして約1週間でロンドンへ帰ります。
しばらく更新もコメントへのお返事、皆さんのブログへの書き込みなどは途絶えますが、ご了承ください。

写真はイングランドで最も大きくて新しいサッカーのスタジアム、ウェンブリー・スタジアムです。
これももはやロンドンの名物の風景と云えるかも知れません。
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テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2010/10/23(土) 22:29:02|
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秋深し

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とにかく寒くなりました。この一週間、最高気温は15℃を越える日が一日も無くなりました。せいぜい12~13℃くらい。そのせいか、またもや体調不良です。また風邪を引いてしまったようです。怠いし、喉も痛い。

気候は冬へ向かってまっしぐら。周囲では親しくしていた方々の本帰国決定の知らせも相次ぎ、下り坂の天候も相まって、妻共々なんだか寂しい気持ちに浸ってしまっています。

僕はと言うと、仕事や職場の人間関係とは直接関係ない事でへこんでしまうような出来事が起こったり(具体的には書きませんが)、仕事の上での行き違いで(当方に何の落ち度も無くて、ただ大学の事務方がアホなチョンボをしただけなのですが)注文していたはずのモノが届かずに、まるまる2週間分の研究計画がパーになったりと、なかなかストレス・フルな一週間でした。

この間に、医学部の(昨年もチューターを勤めた)SSC(Student Selected Component)と呼ばれる実習コース(SSC programme dissertationを参照)で2年生を対象にしたモジュールのチューターを今年もありがたい?ことに拝命しており、お約束の様に3人の学生が割り当てられていて、個別に最初のミーティングをこなしたり、研究費の申請書の書類を作ったり(書いているうちに良い案が浮かんだり、他の実習コースの準備に携わったり、前に書いた案が陳腐なモノに見えた書き直したりするので、多分この作業は延々と年明けまでかかると思います)、ふと思い浮かんだアイデアを実現する為にいろいろな方面の方々にメールや電話などでやり取りして、共同研究の形で協力を取り付けたりなどなど、実験計画そのものが飛んでしまってもやる事は山ほど有り、ブログの更新もままなりませんでした。少し可哀想だったのは新しい大学院生のAちゃんで、僕の実験計画が飛んでしまったおかげで、本当は実験について僕が作業をしながら教える予定にしていたモノが大きく飛んでしまって、やむなく他のラボメンバーの実験を見学をしてもらうはめになりました。

もしかすると週に一回程度の更新がやっとで、人様のブログにもあまり足を運べないとと言う状態が当分続いてしまう予感がします。今までこういう事態はあまり無かったのですが、仕事なのでやむなしと言う感じです。英国に来て3年が経ち、とっかかりの研究活動は芽も出始めて軌道に乗り始めた実感を持てる様にはなりましたが、今後の研究費の獲得やポジションの獲得に向け、どうやら、自分が国際的に認知される所に至ることが出来るかどうか、この1~2年が正念場と言う事なのでしょう。今頑張らねば、研究者として日本へ帰国する事も、おそらく出来なくなるのでしょう。自分で選んだ人生ですので、逃げずに真正面から向き合わねばなりません。

忙しくしていても世間はめまぐるしく動いています。劇的なチリの落盤事故現場での救出劇やら、次々と明らかになって行く英国における予算削減に関するニュース、FIFAのワールド・カップ誘致に関わるスキャンダルなどなど。

今日は、家族でITV1で放送中の人気番組The X Factor(素人から人気歌手に成れる人材を発掘するオーディション番組)を楽しく見た後、今このブログを書いています。この週末は昨日も本日も良い天気で、写真は昨日の土曜日に撮った秋晴れの空を背景にした自然史博物館(Natural History Museum)です(記事;自然史博物館を参照)。ここは、South Kenginton駅の近くで、いつも人気で入るのにすごい行列です。恐竜の化石のコーナーが特に人気ですね。ただし、昨日は自然史博物館に用事があったのではありませんでした。娘(小学3年生、現地校4年生)が英検を受けるため、試験会場であるImperial Collegeの会場に連れて行かないと行けなかったのですが、ここのすぐ横だったんですね。英国に3年以上滞在している娘の同級生の日本人は、大体準2級か2級が相場なのですが、今回は初めてで試験会場の雰囲気に慣れさせる目的で3級を受けさせました。今回は一次試験で筆記とヒアリングですが、娘に云わせると全く簡単だったそうで(前日にマークシートの記入の仕方と名前を書く練習をしただけで、何の準備もしていません。周囲の日本人の子供たちも、ロンドンでの英検受験には、何の特別の準備もしないのが普通です)、なんだかうらやましいです。3級の会場は9割以上が小学2~3年生くらいの子供たちだったそうで、日本の会場とはえらく違うでしょうね(3級は中学2~3年レベルですから)。ヒアリングは、4択で、間違いの回答は愚にもつかない答えが多く、会場は子供たちだらけなので、げらげらと笑い声が起こったそうです(「それはないやろ~」という笑いなのでしょう)。何で子供たちがこぞってわザわざ海外で英検を受けるかと言うと、取っておけば日本で履歴に書けますし評価されますが、ロンドン在住の時が一番英語の実力が高い訳で、日本へ帰って子供が英語を忘れてしまう前に取れるモノは取らしておけ、という風潮がロンドン在住の日本人社会の間で強いのですね。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2010/10/17(日) 21:37:09|
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London Snap

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忙しくて、更新がままなりません。
コメントへのお返事、遅くなってしまいますが御了承ください。

ここは、あのエレファントマンが最後に息を引き取った病院で、ここのミュージアムにはエレファントマンの骨が展示されているそうです(あのマイケル・ジャクソンが買いたがったというヤツです)。

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  1. 2010/10/12(火) 18:23:03|
  2. 英国
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寒露

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いろいろあって時間がないので簡単に。
昨日はまずまず暖かく日も射して穏やかな天気の一日でした。今日は、ずっと曇りでした。

昨日は、某有名研究者M先生の研究室を訪問し、今僕がやっている研究の中見を紹介して、データについて少しばかりディスカッションをし、新たに今作成している研究費申請書に関して、相談に乗ってもらいました。
とても親切な人で、僕がロンドンに来た当初から、循環器系の発生生物学を志す研究者達のコミュニティの仲間に引き入れてくださった方です。申請に関して、研究の中身からいろいろと建設的なアドバイスを頂き、また、先々お互いに助け合えることがあれば、共同研究を是非に立ち上げましょうと言っていただきました。まだ予備的なデータの段階ですが、とても興味を持っていただけたので、自分の研究の方向性にも手応えを感じることが出来て、良かったです。
英国のいくつかの研究費をfundingしてくれる団体の最近の傾向や台所事情などの情報も教えてくださったので、それらを加味した上で、もう一度作戦と研究提案の中身を練り直すことにしました。

今日は、クリニックのお手伝いの後は、大学へ行き一日仕事をしました。
息子は同級生(英国人)の誕生パーティーに呼ばれ、近所のスウィミング・スクールへ。
屋内温水プールでのパーティーでした。楽しかった様ですが、そのおかげでお疲れ気味?今夜は良く寝てくれるでしょう。

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  1. 2010/10/09(土) 20:54:12|
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眩暈

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なんだか忙しい。一日の予定を時間で区切って、実験・データ整理・グラント申請書作成・来週の当番に当たっている論文抄読会の準備(まずはちゃんと紹介する論文を読まないと行けないし、プレゼン用のスライドを作らないと行けない)・明日に会う約束になっている某著名研究者とおこなう共同研究の相談用資料の準備・学生実習で僕がチューターをする事になっている学生と個別に面談・新しい大学院生のAちゃんの指導.....などなど、優先順位をつけてこなしているつもりですが、一日の時間は限られているので、全てが「ちょっとづつ」でも前に進んでいるならばOKですが、「どれもが足踏みしている」ような気がして、気持ちばかりが焦ります。
天気は、昨日の朝方は小雨まじりでしたが、以後は晴れてきて、今日も日が射しています。そろそろ青空が見たいという気持ちが通じたのでしょうか。週末に向けて、本当に久々に気温も20度を越えそうです。

まずはノーベル賞の話題から触れねばなりますまい。化学賞で二人の日本人の方が受賞となりました。僕などはノーベル賞なんて本当に縁遠い話なので、これは並みたいていの事ではない、本当に素晴らしい事だと思います。ただし、根岸先生への研究には、「日本は研究費を供与するなどの貢献は全くしてこなかった」という事実を忘れては行けません。根岸先生の略歴を拝見するに、帝人に勤務していたことがあるだけで、アカデミックでの研究は「ず~っと米国」でなされています。以前の南部先生や下村先生と同じです。日本人が素晴らしかったのであって、日本が素晴らしいという事にはならないわけで、根岸先生ご本人が「日本のアカデミアの門戸が閉ざされている」と述べられていることは、マスコミも含めてもっと問題視すべきと思います。多分、米国は、根岸先生のは米国の受賞と思っているでしょう。資源の無い国にとって理系は国家基盤となる背骨と思いますので、若い人がどんどん海外に出て修行する事が肝要と思いますが、残念ながら現状は若い人ほど「内向き」指向なのが気になります。マスコミは手放しではしゃぐだけではなくて、今の日本の科学技術研究の現場の現状・危機的状況を、こういう皆が関心を持つ機会にもっと掘り下げ報道すべきと思います。

ノーベル賞ネタでもう一つ。今年の医学生理学賞に関して、今日発売になったばかりのNature誌は、さっそくRobert Edwards先生に関するニュース(コラム)を掲載しています。
Baby boom bags Nobel prize
UK pioneer of in vitro fertilization wins medicine honour.

記事を読むと、当初は人工授精によって奇形が多発するかもしれないので、手放しでサポートできないと英国の医学研究学術会議(MRC; 英国の税金に拠る医学研究への研究費の配分を担っている)はいっさいEdwards先生へfundingしなかったのだそうです。それがノーベル賞を取ってしまって、MRCの胸中はもしかすると複雑かもしれません。もっとも、生殖に関わる問題は倫理的側面も絡んでデリケートであるので、こういった反論が出る事自体は健全な事かもしれません。ただし、記事に依ると1960~70年代当時は異様な空気が漂っていたそうで、生殖医療を行う彼らに対して皆が口もきいてくれないし、ケンブリッジにおいてノーベル賞受賞者の著名研究者Max PerutzやJames Watsonですら、「生命の開始点に介入するなんて、無責任な行為だ。」と面と向かって言ったそうで、そういう下りは驚くとともに、裏話としてはちょっと興味を引きました。そんな逆風の中でも、信念を持ってやり続けたことが偉いのでしょう。今では発展した人工授精の技術で、遺伝病の保因者でも、責任遺伝子がわかっている場合は遺伝子の異常のない胚を選んで子宮内に戻す事で病気の無い赤ちゃんを持つことが出来るようになっていますが、こうした粘り強い忍耐が背景にあったという事を初めて知りました。

話題はがらっと変わりますが、ハンガリーのアルミ工場からの汚泥流出事件、BBCで映像を見ましたがひどい話です。死者も出ていますし、汚染がドナウ川の下流域に複数の国にまたがって拡大しつつある点も心配です。

明日は多分更新は無理と思います。コメントへのお返事、遅くなります。ご容赦ください。

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  1. 2010/10/07(木) 14:23:59|
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平静

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GRD2 ISO80 f5.6 1/500s
今日も曇りです。青空が見たいです。
忙しいので今日は簡単に。コメントへのお返事は遅くなります。
ノーベル物理学賞は、またもやマンチェスター大の二人の英国人へ。いまのところ英国が独り占めですが、報道は至って静かなものです。
柳田先生がiPS細胞一辺倒の最近の日本での風潮に警鐘をならされていらっしゃいますが、本当にその通りと思います。英国も昨今は応用への偏重が目につくようになりましたが、日本よりはずっとリベラルです。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2010/10/05(火) 14:04:30|
  2. 英国
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Nobel Prize "for the development of in vitro fertilization"

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GRD2 ISO400 f2.4 1/80s
日曜日も天気が悪く、外に出る気も起きなかったため、ずっと家でデスク・ワークをこなしていました。
今日は朝から雨模様です。

予告通り、地下鉄がストを打ちましたが、僕がメインで使っているNorthern lineは運行していたので、通勤そのものには大きな支障はありませんでした。ひと駅分を徒歩で歩けば済む程度の事で済みました。
ただし、ストのおかげで、いつも以上に運行している列車に人が集中するので、車内はぎゅうぎゅうに混み合い、道路は歩く人とくるまで溢れかえってなんだか殺気立っており、朝からなんだかげんなりです。まあ、日本の通勤ラッシュに比べたらずっとましなのですが、慣れとは恐ろしいもので、日本の通勤ラッシュを今の僕が目のあたりにすると、多分朝一番から労働意欲が減退する事と思います。

今日は、世界標準時で朝の9時半(ロンドンの夏時間で午前10時半)にノーベル医学生理学賞の発表がありました。今年は英国人の単独受賞で、ケンブリッジ大のRobert G. Edwards名誉教授の受賞でした。

The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2010
Robert G. Edwards


お題目は、「体外受精法の開発」でした。確かに、倫理的な問題も含めていわゆる試験管ベビーは当時はセンセーショナルでした。現在は不妊の治療などに対してなくてはならない方法とのコンセンサスが得られたので、今の受賞となったのでしょうか。とっくにもらっていても良さそうなのに、受賞まで30年以上かかっています(世界初の試験管ベビーが1978年)。その辺のいきさつは、選考の過程はよくわからないので憶測でしか言えません。マスコミ(特に日本のマスコミ)は毎年発表の前に予測と称して大騒ぎしますが、当たったのを見た事がありません。ちなみに、英国は発表前の予測の報道はおろか、英国人が取った後も、別に大騒ぎも何も有りません。日本人が取ると、日本だと大騒ぎでしょうけどね。BBCもThe Times紙も、The Independent紙も、ノーベル賞受賞はトップニュースにはなっていません。夜10時のBBCニュースでも、保守党党大会の模様、政局、アフガンなどを含む世界情勢、ゴルフのライダー・カップの結果などを放送して、放送枠の最後にやっと触れられた程度です。受賞者が130人もいると、珍しくも何ともないのでしょうか。

明日は物理学賞です。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2010/10/04(月) 17:28:32|
  2. 研究
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Science is Vital.

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GRD2 ISO400 f8.0 1/800s
今日は、朝方少し日が射しましたが、結局一日雨模様。
朝から日系クリニックの健診をお手伝いした後、午後は夕方まで乳児健診でした。

日曜日の晩から月曜日まで、24時間のロンドン地下鉄のストライキが再び予定されています。
週の頭から交通が麻痺して通勤の足に大きな影響が出てしまうのは、いささか憂鬱に感じます。

英国では、保守党を中心とした連立政権が、大掛かりな財政支出削減政策を実施しており、大学への補助や科学技術研究への国家の投資も大幅に削減される事が予測されています。前労働党政権は、科学技術研究費予算の削減には消極的で、むしろ不景気だからこそ維持しなければならないとの立場でしたが、現政権は小学校までも含む教育への予算までも削ろうと言う動きがあり、教育界からも懸念が広がっています。

そんな中、10月20日には新政府に拠る予算案が発表される予定になっていて、研究者達の間で大きな危機感が生まれており、国会議員へのロビー活動、嘆願書の署名、政治家への嘆願書の送付、研究者の決起集会などを呼びかける動きが加速しています。
Science is Vital
日本も研究資金の削減が行われていますが、一人一人の研究者に政府や政治家に教育と科学技術の重要性を説明し訴えることへの参画を呼びかけるような動きがあったでしょうか?学会声明など政府へ働きかけるのは、どこか「えらい人達」がすることで末端の研究者には関係ないと言う気持ちが無かったでしょうか?

女王陛下から称号を頂いている著名研究者から、学術雑誌Natureの協賛まで取り付けてのこのような動きに、一人の末端の科学者として、感動を覚えました。
微力ながら、参画したいと思いました。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2010/10/02(土) 22:32:24|
  2. 科学技術政策
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霧中

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昨日は、朝通勤時には久々に霧がかかっていました。朝露も毎日見るようになりましたから、それが霜にかわり始めると本格的な冬の到来という気がします。
自宅を出たときには霧が出ていましたが、地下鉄を乗り継いで都心部の大学までやってくると、霧も無くなっていて気持ちよく晴れ渡っていました。今週初めて見る太陽なきがします(晴れた日、ほかにあったかな?)。今日は朝から雨が降っています。

昨日は、午前中に大学で仕事をした後、午後からMill Hillというロンドン北部にある町にある国立医学研究所(National Institute for Medical Research; NIMR)へ出かけてきました。ここは、英国医学研究学術会議(Medical Research Council; MRC)が直接運営している研究所で、この研究所には著名な研究者や僕が大学院生の頃には若手の売り出し中だった切れ者の若き発生生物学者たちが何人も研究室主催者として在籍しています。

この日は、次世代シーケンサ(DNAの塩基配列を決定するための近年確立された画期的な超高額機器)のユーザー・ミーティングが行われました。僕の所属する研究所のゲノム・センターの責任者Mさん(英国人)が音頭をとって、定期的にIlluminaという次世代シーケンサを製造販売している会社にスポンサーになってもらってこのミーティングを開催しています。前回は僕の居る研究所で行われましたが、今回は、この研究所にもIllumina社製の次世代シーケンサが設置されて大規模な解析が行われ始めた事を受けて、ここの研究所での開催と相成った模様です。

僕自身の研究プロジェクトに、Illumina社製の次世代シーケンサを使う予定になっていて(ラッキーな事に、僕の居る研究所には既に2台設置され稼働しています)、いままでまだ誰も試した事の無いアプリケーションを試みようとしているので、半年ほど前から会社の方々といろいろと打ち合わせをしてきました。昨日は、ミーティングの後、個別に時間を作ってもらって会社の方々と細部をつめる話し合いをもち、なかなか有意義な議論ができたと思っています。日本に居ると、「日本の代理店の日本人社員が本社に研修を受けにいって、その研修を受けた日本人が対応にあたる」事になるのだとおもいますが、こちらに居ると直に「開発の現場に居る人間」と自然とコンタクトをとる事になって、ずいぶんと風通しが良いなと感じます。もちろん「日本語で会話できる」という便利さがある事は認めますが、開発者に質問をぶつけるのと、開発には携わっていない人に質問するのでは、打ったときの響き方は全然違うものです。

そのあと、久々にこの研究所のスーパースターであるRobin Lovell-Badgeさんの研究室でもう10年ほどご活躍されているSさん(日本人)とお会いし、研究所のパブでビール片手に楽しい時間を過ごしました。彼は大阪に僕が居たときに所属していた研究所の、僕とは違う研究室に僕が大学院に入学したとき(14年前)に所属されていました。二人で日本語でしゃべっていると、「おっ、日本語じゃないですか!」とこの研究所の中で仕事をされておられる他の二人の日本人研究者の方々も加わって、いろいろとお話を伺えた事も有意義でした。こういう科学という共通の地盤で価値観を共有できる方々とのネットワークが広がっていくのも、うれしく感じます。

GR BLOG トラックバック企画「影」に参加.....
したいのに未だにトラックバックができません。
Ricohさん、早よなんとかしてや!

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2010/10/01(金) 13:48:56|
  2. 英国
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プロフィール

Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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