最近気になったニュースで、functional MRIという脳の機能を画像化する技術を使うと、植物状態の患者さんでも外部からの呼びかけに適切な脳の反応を示す方がいるというものがありました。英国MRCのケンブリッジのグループとベルギーのグループの共同研究で、New England Journal of Medicineという臨床の一流紙に報告された研究です。 http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/8497148.stm 知的活動は保たれたままいわゆる「閉じ込められ症候群」になっている植物状態の方は、今まで考えられていたよりも多いのかもしれません。うまくいくとこういった方々とコミュニケーションを取る方法が見つかるかもしれないとポジティブな内容の報道でした。SFチックですが、将来、映画「甲殻機動隊」の様に脳とコンピュータを統合するようなインターフェースが実現される日が来るかもしれません(実際に米国などでは精力的に研究されています)。一方では、このような患者さんが現状では外界と交信する手段が未だ無い訳で、自分がそうなってしまったらいったい正常な精神状態を保てるのだろうか、とすこし恐ろしい気持ちにもなりました。
Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。