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今日は冴えない天気ですが、雨が降る訳でもありません。昨日はむしろ暑いくらいでしたが、予報通り、20℃くらいの気温まで戻ってしまいました。風邪を引かぬように、体調管理が難しいです。
今日は朝一番に、GP(家庭医)に僕の高血圧を診てもらいに行きました。結局、看護師さんに診てもらってから先生にたどり着くまで、きっちり4週間かかりました。
http://ukresearchlife.blog17.fc2.com/blog-date-20090812.html 日本の政府/厚労省も、医師達も、いかに日本の医療環境が恵まれたものに維持されて来たか、もっと説明すべきと思います。英国の医療システムの理念は賛成ですが、現実はあまり良いものとはやはり思えません。
たまたまとある学術雑誌の新刊が出たばかりで、どんな論文が発表されているのかな~っと、昼食を食べながら眺めていたら、ケンブリッジ大のAustin Smith先生の研究室からの論文に目がとまりました。ここのラボから出る論文は、渋いと言うか、いつも視点に感心させられ刺激的です。Austin Smith先生は、ES細胞と言った全能性幹細胞研究の大御所です。全能性幹細胞にまつわる研究は、日本では一斉に山中伸弥先生のiPS細胞に目が向いて、先日立ち寄ってくださったK先生(9月7日の記事参照;
http://ukresearchlife.blog17.fc2.com/blog-date-20090907.html )曰く、「全能性幹細胞を使って研究する場合は、ES細胞じゃなくてiPS細胞を使わないと人にあらず」といった雰囲気が今の日本には漂っているとおっしゃっていたのを聞いて、少なからず日本はそんな風潮になってしまったのかと驚いたものです。再生医療という言葉が最近はマスコミでも良く出て来ますが、ES細胞を使って実現できない事は、 iPS細胞を使っても無理ですから、全能性幹細胞を使った再生医療への挑戦(全能性幹細胞をソースに、利便性の高い細胞を作り出す事。例えば心筋細胞や膵臓のインスリン分泌細胞など)は別にiPS細胞を使わないといけない理由なんてないはずなんですよね。ES細胞でも良い訳です。もちろん、iPS細胞をいかに効率よく作れるか、いかにESと同じ性能の安全なiPS細胞を作り出すか、また体細胞の「リプログラミング」の分子生物学的基盤とはいったい何か、と言った研究は非常に重要でその重要性を否定するつもりはありませんが、おそらくその課題について世界と互角に渡り合って結果を出せるのは、日本からは今後も山中研だけな気がします。もっとも、若手の中でとんでもないダーク・ホースがいたりする可能性は否定しませんが。
Austin Smith研は、iPS細胞ではなくてES細胞を用いて、コンスタントに独自の視点から「全能性とは?」の問いに対する研究成果を発表し続けています。研究の世界にも、もちろんその時々の流行がありますが、そういった「はやり廃り」に踊らされる事無く、こつこつと信念をもった研究テーマに挑み続けるいかにも英国らしい研究スタイルに、個人的には憧れます。そういう意味では、僕の師匠である元ボスの教授もそういう研究スタイルで、そういうのは格好良いと思いますし、僕もそうありたいと願っています。
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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術
2009/09/09(水) 17:24:49 |
日英の相違
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