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英国医学研究留学記

処方

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朝はやや曇っていましたが、今日も昼からは良く晴れていて、気温も高めです(最高が25℃くらい)。大阪のように最高が35℃を超えるのは行き過ぎですが、せめてこれくらいの気温になってくれないと、夏と言う気がしませんね。こちらは熱帯夜なんて無いのが良いです。明日は雨の予報。

関東の地震、かなり大きいものだったようですね。けが人も出て、お盆前と言うのに道路や新幹線にも影響が出ているとのこと。被害に遭われた方々のお見舞い申し上げます。交通や流通は、早く復旧すると良いですね。

昨日は、豚インフルエンザに絡んで、英国で小児へのタミフル投与に関して、ちょっと物議をかもしている事が話題になりました。季節性インフルエンザに対してタミフルもしくはリレンザを投与しても、小児の場合は合併症の抑制になると言う科学的・医学的根拠はなく、発熱期間が若干短くなるくらいのメリットしか得られないばかりか、むしろ吐き気といった副作用の方が心配なので、豚インフルエンザ罹患小児へのタミフル投与は原則的に要らないのではないか?との医師/研究者サイドからの発言が報道されました。一方では、政府側の見解では、豚インフルエンザは若年層に親和性があり、基本的に軽症であまりビルレンスは高くはないが各論的にはどう転ぶか判らない訳で(投与せずに重傷化した場合の責任逃れのために?)、小児例でもタミフル投与を原則としています。両者の見解が一致していないために、一般市民に混乱を与えているようです。

個人的な意見としては、医療関係者からの不必要なタミフル投与は控えるべしとの提言に賛成です。日本じゃタミフル、使い過ぎじゃないでしょうか?。抗生剤もそうですが、使いすぎるといざ使いたいときに耐性株が頭をもたげて薬が効かないと言う事態になり得ます。「必要の無い人には処方箋を切らない」、というとまさに正論に聞こえますが、ところが日本では、外来をしていると患者さんは薬をほしがるのです。小児科医は一般的傾向として「薬を出したがりません」が(赤ちゃんに不必要な薬を親御さんから処方してくれと言われた場合を想像していただくと、誰だって出したくないですよね、必要ないなら)、外来で薬を出して欲しいと言われたときに、不必要な薬は害になるだけだからと説明しても、すごく不満そうにされる事はものすごく多いのです。要するに、「薬を出さない医者=何もしてくれなかった=不親切な医者=ヤブ」と言われかねないわけです。英国のGP(家庭医)は国が給料を払っていますが、日本の開業医は個人商店です。僕みたいに勤務医しかしたことがない医師は自分の給料には直結しないのであまり考えずに「必要ありませんよ」と言えても、薬を出さないと「あの先生は不親切だ」という噂が立って(携帯など通信手段が発達して、しかも匿名の口コミが真偽のほどとは関係なく広域に配信されてしまう現在においては、こういう噂は開業医に取っては致命傷になりうると思います)、商売にならなくなる可能性があります。今の日本の制度は、こういう当たり前の事をしようと思っても、仕組みとしてなかなかうまくいかないでしょうね。もちろん安易に処方箋を切る医師もいるかもしれませんから、医療サイドにも問題はあるでしょうが、サービスを受ける側にも問題が多いと思います。だからといって、英国の仕組みが良いとも全く思いませんけどね。

余談ですが、タミフルの副作用と言うと日本人はすぐに異常行動と思うかもしれませんが、僕はタミフルが原因で異常行動を起こし得るのかに関しては、科学的根拠が出るまでは懐疑的です(が、否定するつもりもありません)。外来をしていると、40℃近い高熱で、インフルエンザともタミフルの投与とも脳炎脳症とも全く関係のないのに、幻覚を見ているような行動をとったり、やたらハイになったりする症例は時々見かけます。僕の子供も、溶連菌による発熱時に、やはりハイになって幻覚を見ていたような異常行動を呈したことがあります(妻は大慌てでしたが)。こういうのは、発熱が消褪するのと同時に軽快します。大事なのは、脳炎脳症の前期症状の可能性があるので、医療機関を受診した上で注意深い経過観察でしょう。ただし、タミフルで異常行動を惹起しないと完全に否定できる根拠も乏しいと思うので、日本政府が投与に慎重になるのは当然の処置でしょうね。英国では、小児への投与にて異常行動の副作用があり得るかどうかと言う議論は、耳にした事がまだありません。

写真は、Piccadilly Circusのエロスの像。ここでは待ち合わせている人が多くて、大阪で言うと「ビッグマン前」みたいなものでしょうか。でも、待ち合わせているのは地元の人ではなくて、全部観光客だと思います。夏休み中で、人が多いです。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2009/08/11(火) 17:08:58|
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プロフィール

Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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