GRD2 ISO100 f4.0 1/250s
今週は毎日いい天気が続いていて、気分がいいです。
WBC、韓国戦、残念でしたね。
対日本に対する韓国チームの力の入れようはすごいものがあるにせよ、最近負けが込んでいるように見えるので、潜在的になにか苦手意識みたいなものが植え付けられてしまったみたいに感じます。
勝負事は、「負けるかも.....」と思った時点で後手に回って結局負けると言ったケースが、ありますから。
イチローが打てていないのも、個人的には気になっています。
昨日の夜と今朝のBBCニュースから。2005年から2008年の間に、Stafford Hospitalで(統計的に?)予測されるよりも400名以上多い数の患者さんが、この病院の救急で亡くなっており、その原因はこの病院の救急部門の医療レベルが標準とはとても云いがたいレベルであったからだと、NHS(National Health Service)の監視機関が声明を出しました。これを受けて、ゴードン・ブラウン首相は遺憾を表明し、どこがいけなかったのかの原因究明を指示したとのことです。
具体的な個々の事故症例はちょっと判りませんが、BBCのネットでの記事の引用をここに引いておくと、
1)スタッフのレベルの低さ、2)不十分な看護、3)器具不足、4)リーダーシップの欠如、5)事態の悪化を察知することに対する訓練不足とそのためのシステムの欠如、
が認められたと言うことです。
具合的には、
ー救急に運ばれてきた患者さんの状態を最初のチェック(おそらく重症度の判定、誰の治療を優先するべきかが左右される)をしていたのは、無資格の受付係であった。
ー看護師が使い方を知らなかったと言う理由で、emergency assessment unitの心拍監視装置の電源が切られていた。
ーちゃんとした看護の出来る看護師の不足
ー管理部門が、定期的に医療の質を監視・吟味することを怠っていた
ー患者さんを看護師の看護なし状態で救急のすぐそばの病棟に放り込むことで、「救急外来での待ち時間は4時間以内に」との原則を満たしていた
ーしばしば、夜間当直の院内外科医は、全く経験のない外科医であった
と、なんとも空恐ろしい事態が並んでいます。
この病院は、テコ入れで(責任者の首も、何人も飛んでいるようですが)、事態を改善に向かわせている最中のようですが、ちょっと感心したのは、きちんと病院の質が外部から監視されていて、問題があればメディアを通じて公表されるような透明性があって、(NHSの医療サービスを提供する病院なので)政府もすぐにきちんと謝っていることです。
行政の対応は、なあなあでうやむやにしようとする(様に僕には見える)日本の行政とは全然違うと感じます。国(日本の厚生省)は、最高裁までいって司法に最終的に行政に責任があると言われるまでは、まず謝らないですし。
病院に対する第三者の監視団体も日本ではないです。だいたいそういった機関を作ろうとすると、おそらくは厚生省のお役人の天下り先になったりしますしね。なんでか判りませんが、利害関係のない監視団体を作るのが難しそうです、日本では。
米国などのように、利害関係のない機関が、各病院について、例えば胃がんの手術を年間何例こなしていて、合併症はどのくらいの確率で、入院日数は平均何日で......といったデータをきちんととって、これを評価し公表するようにすれば、各病院が成績を上げる努力を今以上にせざるを得ないでしょうし、患者さんの方も病院を選ぶ基準になるし、合併症や手術死亡などの数字を生で見ることで、医療に絶対などあり得ないのだと言うこと(医師は万能ではないこと)をもっと実感として理解できるのではないかと考えたりします。ただし、どんな仕組みを作っても必ず抜け道があって、例えば米国のそういった評価システムも、病院の見かけの成績を上げるために、技術的に困難な症例は自分たちの手を汚さずに他院に丸投げする病院がある、と言う話を聞いたことがありますから、なかなか、よし、これならば絶対だ!と言うような仕組みやシステムは、作りようがないのかもしれません。
最後に、英国の仕組みが良いと言うようなニュアンスで書いた文章に見えるかもしれませんので、一言だけ付け加えておくと、この国の医療制度よりも、日本の医療は少ない人的資源でとても良くやっていると思います。少なくとも、自由に病院を選べて、見てもらいたい日に(数時間待たされたとしても)医師に診察を受け治療を施してもらえるのは、すばらしいことだと思います。英国では、正規の手続きでは、医師の目の前にたどり着くこと自体が難しく(たどり着くのに正規の手続きを踏むと、「月単位」で待たされます)、日本のような医療サービスを受けようとしたら、プライベート診療になって目ん玉が飛び出るくらいの多額の医療費が必要です。個人的には、英国よりも日本に住んでいる人の方が、一般的医療サービスの見地からすると、遥かにハッピーだと思います(貧困層や社会的弱者に対する行政などの対応は、こちらの方が優しいと感じますが)。
スポンサーサイト
テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術
2009/03/18(水) 20:59:33 |
英国
| トラックバック:0
| コメント:2