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英国医学研究留学記

世界規模の景気後退

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昨日のチャンピオンズ・リーグの予選、アーセナルはフェネルバフチェに快勝。
ロンドン子達には気持ちのよい試合だった事でしょう。
セルティックはマンUにめためたにやられてしまい、残念でした。

先週号のNatureの記事から。
Icelandic biotech feels the pinch
Nature Volume 455 Number 7215 p842
deCode Genetics runs risk of losing stock-market listing.
Meredith Wadman
世界規模の景気後退が、科学研究やバイテク企業にも少し先行き暗い影を落とし始めています。
その一例。
アイスランドは小さな国土の国ですが、現代的な金融システムを基盤に大変にリッチな国として成功を収めていたかの様に見えました。
ところが米国のサブプライムローンの破綻に端を発する世界規模の金融信用の崩壊から、金融資産の暴落に歯止めがかからなくなり脆弱性を露呈。
国家規模の破産の瀬戸際に追詰められ、つい先日は大手銀行の国有化まで発表されました。

これは、英国にも多大な影響を及ぼしています。
アイスランドの銀行は高金利をうたっていたため、多くの市民がアイスランド系のネットバンクなどの銀行に預金をしていましたが、アイスランド政府がアイスランド国民以外の預金は保証出来ないと発表したため、英国政府が強行に反発、英国内のアイスランド系銀行の資産の英国外持ち出しを凍結し、国家間の緊張が高まっています。
また、英国の警察や多くのカウンシル(市役所)などが税金や運用資金をアイスランド系銀行に沢山預けていたため、そのお金を動かせなくなり、市民税などの増税が必至だとの報道も。

アイスランドには、デコード・ジェネティクス社と云う特殊な会社があります。
これはアイスランド出身の科学者が1996年に設立した会社で、言ってみればアイスランド国民の病歴と遺伝子のデータベースを研究と商売に結びつけた会社です。
アイスランドには、900年以上のヴァイキングの伝統によって、きちんとした家系図が残っているそうです。
地理的に相対的に孤立していたアイスランド人は比較的均質な集団を構成しているため、アイスランドは病気の遺伝的要因の調査を行なうには理想的な場所と考えたのです。
デコード社は、アイスランド政府と取引して、国民の病歴と遺伝子情報を優先的に閲覧出来る事、そのみかえりとしてハイテク産業と投資マネーをアイスランドに呼び込むことを約束しました。
国民投票でこの計画は多数の賛成を得て、世界中の遺伝学者やバイオ産業・製薬会社が注目した国家的とも云えるプロジェクトがスタートしたのです。
数年前にNHKなんかも大きく取り上げてNHK特集かなにかで紹介していた様に記憶しています。
この計画では、高血圧や糖尿病といった生活習慣病から悪性腫瘍に至るまで多くの疾患の遺伝学的解析が外資系製薬会社や欧米の大学との提携によって行われており、NatureやNature geneticsといった一流誌に掲載される様な数々の目覚ましい成果を上げてきました。
ところが、この未曾有の金融危機に際し、資金繰りが苦しくなり、NASDAQ上場基準を満たせなくなったため、このままではNASDAQ経由での資金調達が出来なくなり先行きが危ぶまれているということなのです。
資金調達が行き詰まって経営破綻となった場合、この会社の保有する知的財産(遺伝情報や病歴情報を含む研究データ)は、製薬会社などにとっては垂涎の価値を持つものでしょう。
いったいどうなってしまうのか、要注目です。
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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/10/22(水) 08:00:00|
  2. 研究
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プロフィール

Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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