丁度、昨年の今頃にこちらで公開していて見たいと思っていた映画、「In the Shadow of the Moon」を土曜日の夜にテレビで放映してくれたので、思わず見てしまいました。 DVDを買うと20£ほどしますし(高い、もっと安くなってくれ)、こちらは米国と違って映画館も余り安くありませんので(10£くらい、日本とさして変わらない)、映画館には見に行かなかったのです(実は安いんじゃないかと渡英する前に勘違いしていた僕はがっかりしました)。
この映画、「Apollo13」を撮ったRon Howard監督の映画なのですが、ドキュメンタリー映画で、月への着陸を目指したのミッション(そのうち13号だけ失敗)に参加した宇宙飛行士の中で、10人のインタビューを軸にして、まったくナレーションを入れずに実際のNASAの映像や当時の映像で構成されています。「Apollo13」のようなエンターテイメント性はなく(「Apollo13」も、原作となった船長Jim Lovel著の「Lost Moon」を読むと、随分と実際にあった事柄から脚色されているのが解ります)、実に淡々と映像が流れて行きますが、個人的には全く飽きることが無くあっという間に見終えてしまいました。映画の時間的制約からだと思いますが、あまり各々のミッションの細かいエピソードは紹介されていないので、割とこのての話が好きでAndrew Chaikin著の「A Man on the Moon(邦題「人類、月に立つ」)」を読んだり、これを基に作成されたテレビドラマ「人類、月に立つ(From the Earth to the Moon)」も見ている様な詳しい人には、少し物足りないかもしれません。 登場する10人は、以下の通り。 Apollo 11 Buzz Aldrin;月着陸船パイロット、Michael Collins;司令船パイロット Apollo 12 Alan Bean;月着陸船パイロット Apollo 13 Jim Lovell;船長 (Apollo 8司令船パイロット) Apollo 14 Edgar Mitchell;月着陸船パイロット Apollo 15 David Scott;船長 (Apollo 9司令船パイロット) Apollo 16 John Young;船長(Apollo 10司令船パイロット)、Charles Duke;月着陸船パイロット Apollo 17 Eugene Cernan;船長 (Apollo 10月着陸船パイロット)、Harrison Schmitt;月着陸船パイロット
GRD2 ISO80 f4.0 1/320s 今日もいい天気。 見上げたら風見鶏の時計台の上に飛行機雲が見えたので、Contax T3のカタログの写真をイメージして。 ロンドンの空を見上げると、飛んでいる飛行機の数が半端じゃありません。 こんなに飛んでいて良いのかと思うくらい混んでいます。 それを見るにつけ、都市としてのスケールは大阪や東京の比ではないのではないかと感じます。 なにせ、周囲に国際空港が4つありますからね(ヒースロー、ガトウィック、スタンステッドにルートン)。 日本の空とは何かが違うんでしょうね、飛行機雲がやたらと多いです。 真っ青な空に飛行機が尾を引きながら飛んでいくのを見ると、大学受験の勉強をしていた頃に見た映画「Right Stuff」のラスト・シーンを思い出します。 Right Stuffとは、ジャストな日本語が無くて苦しいですが、天賦の才、選ばれし者、と言った意味が近いでしょうか。 音速の壁を世界で初めて破ったチャック・イェーガーと、その影で最新鋭のジェット機に乗ることが出来ずに宇宙飛行士へと転身を図ったゴードン・クーパーやガス・グリソムら若きテストパイロット達。 新聞記者に"Who is the best pilot you ever saw?(今迄会った中で、最高のパイロットは誰だい?)"と聞かれて、"Well, uh, you're lookin' at 'im.(そうだな、君たちの目の前にいるよ。)"と軽口をたたくも実は本心ではイェーガーこそがRight Stuffを持つ最も偉大なパイロットだと思っているクーパーが、ラストで単独有人では最後で最長の宇宙飛行に飛び立ち、ぐんぐんと彼方へ向かって飛び去るシーンとオーバーラップするのです。 "And for a brief moment, Gordon Cooper became the greatest pilot anyone had ever seen." (そして束の間、ゴードン・クーパーは誰も出会ったことの無い偉大なパイロットになったのであった。) 一方で、いつしか世間の注目も開発資金も大きくマーキュリー計画に奪われたジェット機開発の現場で、イェーガーは飛行機から浮気すること無く黙々と自分のすべきことをこなし、自らの限界に挑戦し続けます。 Chuck Yeager: "Hey, Ridley?(おい、リドレー?)" Jack Ridley: "Yeah?(何だい?)" Yeager: "You got any Beemans?(ガムあるか?)" Ridley: "I might have me a stick.(一枚ならな。)" Yeager: "Well, loan me some, will ya? I'll pay you back later.(くれないか。後で返す。)" Ridley: "Fair enough.(いいだろ。)" Yeager: "I think I see a plane over here with my name on it.(俺の名前の書いてある飛行機が向こうで俺を待ってるからな。)" この台詞のシーン、痺れます。 落ち込んだり壁に突き当たったときに、この映画を見るとまた頑張ろうと言う気にさせてくれる、僕の好きな一本です。 GR BLOG トラックバック企画テーマ「風」に参加
Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。